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顔が熱い。
ひたすらに速い心臓の音が聞こえる。
ぼーっと七海を見ていたら、スッと眼鏡を引き抜かれた。
すぐに伸びてきた指先に頬を撫でられ、唇を人差し指が掠める。
目の前の瞳が密かに細められて、まるでキスしていいかと聞かれているみたいだった。
否定も肯定も出来ずにいると、それを了承と取ったのかすっと顔が近づいてくる。
慌てて七海の唇に手を押し付けた。
むぐっというくぐもった声。
「――ちょっ、今めちゃくちゃいいところだったじゃないっすかっ。完全にキスする流れでしたよっ」
「だ、だだダメだっ。本当にダメだっ」
「何がダメなんですか」
「し…心臓がもたない。本気で勘弁してくれ」
あまりに心臓がバクバク言っていて、もう目眩がしそうだ。
なんて酷い感情なんだ。
七海は俺の言葉に一度動きを止める。
さっと視線を逸らすと、珍しく照れたようにその顔が赤らんだ。
「…あーくそ、さすがに反則だろ」
どこか乱暴になった言葉と同時、急激に腰を引き寄せられ唇に噛み付かれる。
ドカッと沸騰しそうなほど顔に熱が昇っていく。
腰を引き寄せられながら、もう片方の手が俺の後頭部に回る。
隙間がないほどに重ねられた唇から熱い舌が入り込んできて、驚きに引っ込んだ俺の舌を無理やりに絡め取る。
身体の力が抜けて抵抗していないというのに、俺に触れる手は逃さないとばかりに力強い。
角度を変えては何度も貪るようなキスをされ、突き抜ける気持ちよさに堪らず七海のシャツを掴む。
「…っふ」
呼吸が出来ない。
苦しくて溺れそうだ。
触れられるだけで、顔を見るだけで気が動転するというのに、こんなことをされたらもう頭が付いていかない。
シュル、とネクタイを引き抜かれてスーツのボタンを外される。
シャツを乱しながら熱い手のひらが荒々しく肌を撫で、七海の唇が俺の首筋へと降りていく。
「……っ」
ピリッとした感覚が走る。
小さく身体を震わせたが、どこか覚えのある感覚にふと気付く。
ひょっとしてコイツまた余計な痕を残してくれたんじゃないだろうな。
「…お前また――あっ」
抗議しようとしたらガブリと首筋を噛まれた。
驚きにビクリと身体を跳ねさせると、七海がハッとしたように唇を離す。
「あ、すいません。可愛くてつい噛んじゃいました」
「…な、なにして――」
「久々にみーちゃんに触ったんで正直堪らなくて。もうずっと我慢してたんで」
「我慢ってなんの…」
「え?なにってそりゃもちろんセック――」
生々しい単語を言おうとしたから、反射的にガバっとその口を塞ぐ。
全くコイツは油断も隙もない。
本日二度目のモゴモゴいう七海の唇を塞ぎながら、新たに降りてきた考えに納得して口を開く。
「そ、そうか。お前もしかして俺の身体が目的なんだな!?そうなんだろう」
勢いのままそう言ってやると、口を抑えていた手を逆に掴まれる。
そのまま伸し掛かるように大きい身体が覆いかぶさってきて、床に組み敷かれた。
「あーもう。なんでそういう発想になるんすかね。もちろん身体も心も両方目的ですよ」
「おいっ」
「はぁ、もう我慢できないっす。犯しますね」
堂々と犯罪宣言された。
さっきまでのどうしようもなく甘ったるい雰囲気はどこへいったんだ。
見上げた七海の目は酷く熱を含み、射抜くような視線が落ちてくる。
ゾクリと背筋が痺れ、脳が麻痺する。
まるでキャンキャンと纏わりついて懐いていた犬が、突然凶暴化してしまったような錯覚。
乱れたシャツから肌に唇を寄せられて、べろりと舐めあげられる。
驚きに身を竦ませたが、構わず七海は胸へと舌を這わせた。
「――っん」
乳首を舌先で弄られ、むず痒い感覚に身体を捩る。
逃げようとしたが押さえつけられているため身動きが取れない。
そのまま執拗に舌先で捏ねるように舐められて、ゾクゾクと下半身に血が溜まっていくのを感じた。
「あ…やめ…っ」
「嫌ですか?気持ちよさそうですけど」
「気持ちよくな…っあ、んっ」
嫌だと言っているのに何度も吸い付かれる。
七海のシャツを掴んで耐えていたが、下半身に手を伸ばされ服の上から形をなぞられる。
既に布を押し上げているそれに、七海がクスリと笑った。
カッと頭に血が上る。
「――わ、笑うなっ」
「や、すいません。みーちゃんも溜まってたんですね。いっぱいしましょーね」
「し、しないっ。ここは学校だっ」
「もう誰も来ないですよ」
言いながら器用に片手でベルトを緩め、ズボンの中へと手が滑り込んでくる。
下着の上から握り込まれて、ビクリと身体が跳ねた。
この流れは非常にまずい。
「や、やめてくれ。俺が戻ってこなければ神谷が怪しむ」
「――はぁ?なんでそこでカミヤンが出てくるんすか」
明らかにイラッとした顔で七海が眉をひそめる。
同時に先端に親指を立てられ、責めるようにグリグリと力強く擦られた。
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