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「え、なんですか?」
キョトンと覗き込んきた七海の顔を見上げる。
情事中は酷く大人びて見えるのに、普段はやはりまだあどけなさの残る高校生だ。
それでも自分の恋人で、俺はコイツの事が好きになってしまった。
それこそ人生を変えるほどに。
ならばついでに、もう一つ思い切ったことをしてみようか。
「なんでもない。何が食べたいんだ」
フ、と表情を緩める。
七海の受験が終わるまであと少し。
少しでも七海の力になれるように。
教師としてよりも、恋人として七海を喜ばせられるように。
「みーちゃんです」
「そ、それはさっき散々食べただろうっ」
「全然食べたりないです」
だがやはりまだ不安は残る。
そうして残りの冬休みは、冬期講習をしつつ勉強に励む七海に弁当やクッキーを作ってやったりとした。
七海が勉強をしていて会えない時は、メッセージも変わらずに送った。
そうネタがあるわけでもないが、例えば『頑張れ』の一言でも七海は喜んだ返事をくれた。
今までの自分はどこか堅く考えすぎていたのかもしれない。
「な、七海。その…何か他にしてほしいことはあるか?」
冬期講習を受けに来ていた七海に、数学準備室で弁当を渡しながら聞いてみる。
この間までその一言が聞けず結城に頼んでいたが、すれ違いたくないなら七海とちゃんと会話をしなければダメだ。
俺と七海は性格が違うからこそ、一人で考えすぎるのはよくなかった。
「ではまず服を脱いでですね」
「そ、それ以外だ。なぜすぐ話がそっちの方向へいくんだ」
結城に聞いてもらった時は『特に無い』とか言っていたくせに全くそんなことないじゃないか。
カッと顔が熱くなるのを感じながら視線を逸らすと、七海がニッコリと俺に微笑む。
「んー、したい事はめちゃくちゃあるんですけど、してほしいこととなると難しいんですよね。俺はみーちゃんが隣でニコニコ笑ってくれていればそれでいいですよ」
「そう言いながらなぜ尻を揉む」
「えっ?あれ、手が勝手に」
そう言って机に押し倒された。
ネクタイを解かれボタンを外されながら、自分の眼鏡をそっと持ち上げる。
「あれ?みーちゃんもやる気満々ですか?嬉しいです」
「ち、違う。そうじゃなくてお前が決まって外すから…」
「だってみーちゃんの顔大好きなんです」
ふふ、と嬉しそうに七海が俺の頬に口付ける。
毎回七海が人の眼鏡を引き抜くから、そんなことはもう分かっている。
どの道これは生徒指導部で少しでも威厳を高めたいと思って掛けていたものだし、大学時代は利便性からコンタクトを付けていた。
だがもう生徒指導部も終わりだ。
七海のために何かやれることがないかと模索していたが、アイツが喜ぶならこの眼鏡ももう必要ないだろう。
「みーちゃん、愛してます」
七海の言葉に脳が蕩けていく。
落ちてくる唇を受け入れながら、俺は手にしていた眼鏡をするりと床に落とした。
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