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Ice-bound 1
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「 おねぇちゃん?…」
「……たすけて…」
「…。」
「…る…???」
┈┈┈┈┈┈┈ ❁ ❁ ❁ ┈┈┈┈┈┈┈┈
「ん゛…ぁ……っハッ…カハッ!!!」
「ガハッ!!…はぁ…はぁ…」
目が覚めるとそこはいつもの景色。
こんなふうに起きるのは久しぶりだ。
ゆ…め…?? か…
また…久しぶりに見たな…
なんだか…すっごい体力使った…気がする。
今何時…? スマホを開き、時間を確認する。
3時…か。朝日が眩しい…
まだ病院に行く時間じゃないな…
魅冬はおでこに手の甲を乗せ、再びベットに倒れ込む。
ギシッというベットの音が生々しい。
最悪だ…
今となってはもう、あまり見なくなったとはいえ、たまにこの夢を見ると、それはそれで、逆にダメージが大きい。
……?? この、感覚…
なんだか感じたことのあるような…
懐かしい感覚に襲われる。
あれ?おかしいな…
「デジャブだなぁ…」
なんとなしに声を上げてみる。
普段とは確実に異なる違和感。
何かこの世のものではないものがいるような気がして、再び耳をすます。
なんだ?
布のこすれる音って、こんなに、大きかったっけ…耳がおかし…
なんだか、音…が…おっき…く…
アレだ。
魅冬は確信する。
来る。このままいたら、アレが、来る。
静かな恐怖が魅冬を蝕んでいく。
動かなきゃ…動かないと…
そうでもなきゃ、あの、記憶が脳裏に、心に流れ込んでくる。
それだけは、怖い。避けたい。
ハァハァハァハァ…走りながら、スマホで音楽を大音量にして流す。
魅冬には、音が血液中に溶けていくように感じられた。
病院近くの公園に着いたところで、少し落ち着いてきた魅冬は、いきなり思い切り走り、悲鳴をあげている足を止め、
冷たい水道水で手を洗い、頭を冷やす。
綺麗になったと感じられる手を、確認するようにさする。
とりあえず、あの空間からは離れられた。
怖かった。たまに感じる、空気の流れが止まったような、あの、空間…
「これからどうしよっかな…」
できれば今は自宅に帰りたくない。また、あの空気になってしまったら…
このまま外にいるのも汚いしなぁ…
潔癖症の魅冬はあまり外が好きではない。
空気が汚染されているように感じる。
少し早いけど、もう病院に行っちゃおうか。別に行っちゃいけないって訳では無いんだし。
そう思い魅冬は顔をあげる。少しの違和感。あ…れ…?
「無い…」
メガネが…無い。
嘘でしょ?私、ほんとに気が付かなかったんだ…
自分でも驚いた。久しぶりの事だったから自分でもコントロールできないくらい慌てていたんだと思う。
それにしても。そう魅冬は思う。
全くもって見えないんだけど…
「マジかよ…」
混沌の声が口から無意識に出る。
どうしよう。でも、あの家には、今日は帰りたくないし…
仕方ない…今日の職場はコンタクトでしのぐか…幸い、バックの中に予備のコンタクトが入っている。
ほんと、今日は、最悪だな…
「はぁ…ほんと、ついてない。」
魅冬は、冷めた心持ちの中、今朝の余韻を残すように職場に向かって歩き出した。
職場に着き、白衣を着て、手を洗い、
コンタクトをはめ、快適に見えるようになった目で周りを見渡し、一息つく。
こんなに朝早く来たのは久しぶりだ。
やっと心に余裕が出来た…なんなんだよ。
今日は。最悪すぎでしょ。
時間を確認するとまだ、というかもう、5時。時間経つの早いなぁ…
それだけ焦ってたんだろうなぁ。だって、あの夢…
「っ…」
魅冬は思い出したくない過去のことを考えないために、感情を作り出さないために、他のことを考える。
「何して時間潰そ…」
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