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目覚め
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うるさく騒ぎ立てる目覚ましを少し乱暴に止め、体を起こす。
眠たい目を擦りながら欠伸を一つ。朝が、来てしまった。あれほど来るなと願った、朝が。
のそのそとベッドから抜け出た俺は、身だしなみを整える。......今日から、新学期だ。......これほど憂鬱な事は無い。
珍しくネクタイまでカッチリつけた俺は、少し苦めに入れたコーヒーだけ飲んで部屋を出た。
ふと、廊下をすれ違う生徒達を見かける。新学期だからかどこか浮き足立った雰囲気の生徒達は何やら楽しそうに話している。
「おはよう」
無視する、という訳にも行かず声をかけてみた。だが、生徒達はこちらをちらりと一瞥すると、何事も無かったかのようにふいっと目を逸らし再び会話を始めた。
.........新学期初シカトだな.........わかってても傷つくもんは傷つくんだぞ...で
あんまりな態度にイライラしつつ、それを表には出さずその横を通り過ぎた。すれ違いざまに聞こえた俺への陰口など聞こえない顔をして、俺は足早に職員室へ向かった。
「おはようございます」
職員室についた俺は、先生方ににこやかに挨拶しながら自分の席に向かう。先生方は微笑みながら挨拶を返してくれる。
さっきのヤツらとは大違いだな......ここがやっぱり落ち着く......
職員室の少し奥まった所にある自分の席に腰掛ける。すると、すかさず隣の席の主が俺の方を向いた。
「先輩、おはようございます」
声を掛けてきたのは、小泉崇矢(こいずみたかや)だ。今年からこの学園に来た新米で、俺の二つ下。更には大学の時の後輩でもある。
俺はちなみに藤崎周(ふじさきあまね)。歳は25、担当科目は古典。この学園で教師をやっている。
髪も瞳も黒、それに黒縁眼鏡etc.......我ながら至って平凡な容姿だと思う。
いや、でも小さい頃は美少年だなんだとちやほやされたくらいだから、今も.........なんて。淡い期待を抱いてはいるが、望みは薄そうだ。
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