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「よく来んの?」
「…ううん、初めて」
「あー、だよねぇ」
杏子は星野の身なりを、上から下まで舐める様に見た
「正直浮いてる!」
「え…」
「その太眉いけてないし、ナチュラル通り越して地味すぎ!暗い!」
そう言って杏子は鞄からゴールドのバレッタを取り出した
そこにはクリスタルの小さな蝶が装飾され、夜の街をキラキラと煌めいた
杏子は慣れた手つきで星野の髪を束ねると、蝶は星野の髪に止まった様だった
「…うん、可愛い」
そんな些細な事が
星野の心を温める
杏子の笑顔につられて、星野も少し口角を上げた
「あっ、ねぇ、これから人と会うんだけど、一緒に来なよ!」
「え…」
「その人お金持ちでね、一緒にカラオケするだけでお金くれるんだよっ!」
星野の意見も聞かず、杏子は星野の手を引っ張った
その強引さに、星野は身を任せてしまった
待ち合わせ場所は、少し古びたビルのカラオケボックスだった
「成川さん」
「あ、杏子でいいよ」
「え…」
「私も理名って呼ぶから」
そういって杏子は笑顔を星野に見せた
学校にはない、居場所…
杏子の隣…
大人の男が入ってきて、一緒にカラオケして
帰る時にお金をくれた
五千円…
サラリーマンにとっては大した事ないのかもしれない
だけど、星野にとっては大金だった
紙一枚分なのに、手にしたそれは重い
なのに、こんなに簡単に手に入れてしまう事に後ろめたさを感じてしまっていた
「…あ、これ…」
「いいよ、あげる」
星野がバレッタを外そうとすると、杏子は笑顔で言った
「でも…」
「じゃあさ、それつけてまた会おうよ」
「…うん」
「じゃ、またね!」
それから星野は
辛くなると渋谷に行った
もしかしたら杏子に会えるかもしれない…
杏子の隣にまた居たい…
合法ドラッグ
ハーブ
札を掲げて堂々と売っている
闇が星野の足元まで近づいてくる
でも星野は、それにまだ気付かない…
「理名!」
それは杏子の声だった
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