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どれだけ空が暗くなろうと東京は光を放っている。
このベランダから眺める景色は、とても綺麗で圭の心を浄化してくれるようだった。
柊弥は今頃何をしているのだろうか。
今まで代わり映えのなかった毎日が急にガラリと変わり、心が追い付いていない気がする。
それにしても、東條という男は本当によく分からない。冷たくあしらわれたと思えば、突然少しだけ優しくなる。
だからと言って低姿勢になったとかそういう意味ではなく、上から目線は健在だ。
やっぱり時々ムッとする瞬間はあるが、何だか最初程ではないような気もしていた。少し慣れてきたのだろうか。よく分からないが、東條にキスをされた時は驚いた。
今まで柊弥とのものしか知らなかったのだが、柊弥とのキスは何も感じなかった。そういうものだと思っていたのだが、東條とのキスは言葉では言い表せない程のものだった。
脳が蕩けるような感覚とでも言っておこう。
とにかく不思議な気分だったのだ。
「まだそこに居たのか。そんなに外にいたら風邪を引くだろう」
「あ、東條さん。」
心地よく耳に響く低い声が聞こえてきて振り返ると圭は息を飲んだ。
先程までオールバックだった前髪は、目元のあたりまで下ろされている。露出された上半身には程よく筋肉がついていて妙に色っぽい。正直悔しいがかっこいいと思ってしまった。
「なんだ」
圭の視線に気付いたのか水を飲みながら首を傾げる東條。
「い、いや。何でもないです。それより東條さん、上・・・着たらどうですか・・・」
「心配しなくても今から着るところだ。そう言うお前は、そろそろベランダから戻ってきたらどうだ」
「あ・・・そうですね」
これ程までに出来上がっている人間を、間近でみたことがないからか変に緊張してしまう。
そしてその男にこれから抱かれる。
そう思うと心臓がバクバクとうるさく鳴り始めた。
「ちょっとこっちに来い」
そう言うと東條はリビングの電気を消し、圭の腕を掴み寝室へと連れていった。
「座れ」
ベッドを顎で指され、言われた通りベッドに座る。
オレンジ色の柔らかい光が寝室を照らしていて、上がった心拍数がどうにかなりそうだ。
すると東條はおもむろにクローゼットを開き、何やら服を探し始めた。
「おまえ、その服だと寝にくいだろう」
「・・え?」
これなら着れるな。とTシャツを一枚手渡され見てみると、ファッションに疎い圭でもひと目でわかる程有名なブランドのロゴが、小さく胸元に入っていた。
「え・・。これ、着るんですか?」
「当たり前だろう。俺とお前だと体格差があるから、そのTシャツ一枚で十分だと思うが。なにか不満でもあるのか?」
「い、いや。そういう意味じゃなくて、こんなにいい服を僕が寝巻きにしちゃってもいいんですか?」
「構わないからさっさと着ろ」
申し訳なさを感じながらも、もそもそと着ていた服を脱ぎ手渡されたTシャツに腕を通す。
東條の言う通り膝上まで隠れるほどTシャツは大きく、圭にとってはブカブカだった。
だが下に何も履かないとなると、下半身がスースーし落ち着かない。
「あの、これ・・なんか恥ずかしいです」
「何も着ないよりはマシだろう、着ておけ。それとも何だ?何も着ない方がマシなのか?おまえは」
「あ・・いやそんな事はないです」
東條はそうだろう。と言いながら自分もTシャツを着ると、スッとベッドへ倒れみ抱き枕を抱くように圭を抱き締めた。
そうしながらも眠たそうに目を閉じる東條に疑問が生まれた。
「あの、えっと、東條さん?」
「なんだ」
「いや、あの。・・・寝るんですか」
「朝から仕事をしてきて疲れているからな。いいからお前も黙って寝ろ」
「あ・・はい。おやすみなさい・・・」
なんなんだ急に。
東條の態度に拍子抜けしつつも黙って目を閉じる。
初めのうちは抱き締められ、距離感に緊張していたのだが、圭も今日1日色々あって疲れていたのか、すぐに眠りについた。
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