アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
情と優しさ
-
寝返りを打つといつもと違った感覚がし、違和感で目を覚ます。
時間を確認しようと、まだ重たい瞼を少し開くと目の前には整った顔があり、一気に目が覚める。
それにしても男らしい綺麗な顔立ちだ。
彫刻のように彫りが深く、閉じられた切れ長の目にはまつげが綺麗に並んでいた。
普段は凛々しい眉毛も、眠っている時は何処か優しげに見える。
その寝顔をぼーっとみつめながら、ベッドボードに組み込まれている時計を確認すると時刻は8:30。
身体という代償を払った訳でもないのに、図々しくいつまでもここに居させてもらうわけにはいかない。
そう思い、着替えをしようと起き上がると、腕をグッと掴まれ引き寄せられた。
驚いて東條の方に視線を向けると、眠たそうな目で圭を見つめていた。
「・・え?」
「何処に行くんだ」
「いや、あの、抱かれてもいないのにいつまでもここに居たら図々しいかなと思いまして・・」
東條は、はぁーと溜息をつき少し掠れた声で言った。
「お前は俺に何回説明させれば気が済むんだ。今お前には権限などない。まだ帰っていいとは言っていないはずだ。それに、寝ている間に勝手に帰る方が失礼だろう」
「そう・・ですよね、すみません。」
「分かればいい。」
「はい。あの、東條さんは今日もきっとお仕事ですよね?もう起きた方がいいのでは・・・」
「いや、今日は余裕がある。13:00前には会社に着いていればいい」
「あ、そうなんですね」
「今何時だ?」
「8時半です」
「8時半か、まだもう少し眠れるな」
「寝ますか?」
「そうする」
そう言うと東條は圭を腕の中に閉じ込め、また目を閉じた。
だがこういう時自分は本当に空気を読めないと思う。
ぐぅーと結構な音を立てて腹の虫が騒ぎ出した。
「あっ・・・・えっと、そのー・・・」
昨日の朝から何も食べていないのだ、仕方の無いことなのだが、恥ずかしさにどうしたらいいか分からない。
すると東條がぱちっと目を開けて、圭の顔をじーっと覗き込み、ふっと笑った。
「随分と元気な音だな。腹減ってんのか?」
「はい・・・すみません。色々ありまして、昨日の朝から何も食べてなくて・・・」
もごもごと説明するので精一杯だ。
「おまえ料理できるか?」
「できます」
「だったら冷蔵庫にあるものを勝手に使えばいい。何か作って食べろ。俺はもう少し寝る」
「あ・・ありがとうございます。何時に起きますか?」
「9:30頃に起きる」
「分かりました、起こしますね。」
そろそろと寝室を抜け、キッチンへ向かう。
人の家のキッチンを勝手に使うのは初めてな為、オドオドしながらも冷蔵庫の中身を確認した。
東條は普段、よく自炊をする方なのだろうか。一人暮らしにしてはしっかり食材が入っており、キッチン用品も結構揃っていた。
一頻り材料を確認し、さて、作ろう。と意気込み台所に向き直った圭の手がピタリと止まった。
ガスコンロじゃない。
なんだこれは。
柊弥の家は火が出るガスコンロだった。だが目の前にあるものはどうだろう。火が出るところがなく平らな台だ。
使い方が分からないのだ。
「どうしよう、東條さんに使い方聞かないと・・」
申し訳なさを感じながら寝室で眠っている東條の元へ向かった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
16 / 98