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別々の暮らし
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「明日金曜日、業務終わりに会社の親睦会があるみたいなのですが、社長はどうなさいますか?」
「去年は行けなかったからな。今年は参加しておこう」
「分かりました。あの、社長」
「なんだ」
「プライベートでなにかトラブルでもございましたか?」
「何故そう思うんだ?」
「いえ、どこか少し違和感を感じたものですから。」
「深山・・お前は流石だな。長年俺とバディを組んでいるだけある」
「ありがとうございます。社長は何をそんなにお悩みになっていらっしゃるのですか?」
「あぁ、心配するな。大した事はない。」
「分かりました」
「もう遅い、お前ももう帰れ」
「はい、お先に失礼します」
いつものようにそう言うと社長室を出ていく深山。
パタンとドアが閉まると溜息をついた。
会社では普通にしていたというのに、深山という男は恐ろしいものだ。もともとそういった事に鋭い上に、東條と深山の付き合いは長い。
少しの表情の変化でも分かってしまうのだろう。
それを、業務が終わる頃に言ったのもちょっとした深山の気遣いなのだろう。
本当によく出来た人間だ。
それよりも困った事があったのだが。
圭と離れてからもう4日が経つというのに、掻き消す為にした、あの行為の後から圭の色が薄くなるどころか、日を増す毎にどんどん色が濃くなっていくのだ。
ソファに座れば、家事疲れで眠っていた圭が思い浮かび、キッチンへ行けば料理をする姿が思い浮かぶ。
風呂場へ行けば、ここで洗濯機を回していたんだなどとまで頭に浮かぶのだ。
少々本格的に脳内がおかしくなってきているのだろう。
一体圭の何がここまで自分の心を掻き乱しているのだろう。それが全くもって分からないのだ。
これは本当にただの情なのだろうか?
だが、それ以外で何かあるのか?と聞かれれば、東條にはそれ以外の別の感情が思い付かない。
こんなに一人の人間の事で頭を動かすのは、いつぶりだろうか。
プライベートや一人でいる時は無に徹していたというのに。全くもって笑える。
このままではまずいな。
明日は親睦会がある。親睦会と言ってもただの飲み会なのだが。1人で家にいるよりはマシだ。
そんなことを考えながらも東條は立ち上がり、荷物を持ち社長室を後にした。
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