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別々の暮らし
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"働く気があっても、やっぱりこういう所をみるのが面接だからうちでは雇えないかな"
いつまでも落ち込んでいてはダメだと思っても、投げかけられた言葉はナイフのように鋭く尖っており、圭の心にはまた傷が付いていた。
自信も何もかも今はもう失ってしまっている状態なのだ。ファミレスとコンビニの面接もキャンセルしてしまった。
叔父も聡美も仕事へ行っている、夕飯は圭の役割。
どれだけ傷付いたとしても、やる事はやらなければ。と思い夕飯の支度を始める。
夕飯の支度が終わり時刻は18:30。
ガチャっと玄関ドアの開く音がし、ただいまーと聡美の元気な声が聞こえる。
「聡美さん、おかえり。お仕事お疲れ様」
「圭ありがとー!それより面接どうだったの?」
痛い所を突くなぁ。とは思いつつ、お世話になっている手前答えないわけにはいかない。
「んー、ダメだった」
「え、なんでダメだった?」
「うーん、4年のブランクがあったら流石に雇えないって言われちゃった。家庭の事情があってって、弁解しようとしたけどだめだった。
だから・・僕、自信なくなっちゃって、明日の面接もキャンセルしちゃったんだ。諦めずに頑張ればいいのに怖さから逃げたんだ。・・やっぱり、僕にはもう普通の人のように生きるっていう選択肢はないのかな?」
傷付いた心を隠すかのように、圭は明るく振舞った。
すると、聡美が悲しそうな表情を浮かべながら圭を強く抱き締め言った。
「逃げたっていいじゃん。そんな事言われたら誰だって傷付くに決まってる。だから、そんな事言わないの。悲しかったら悲しいって素直にいえばいいじゃん。なんで強がるの?圭くんのばか。」
聡美の声が震えているのに気付くと、自分の目からも自然と涙が零れていた。
「・・ごめっ・・・聡美さん・・はやく仕事、みつけるから・・・」
「圭くん。圭くんは私達に申し訳ないと思って、はやく仕事探さなきゃ。って思ってるのかもしれないけど、私達はそんな事これっぽっちも気にしてない。ゆっくりでいいんだよ。ゆっくり探そうよ」
圭はしばらく聡美の腕の中を借り泣いた。
一頻り泣き顔を上げると聡美が圭の顔を見てプッと笑う。
「・・なんで笑うの」
「だって、圭くん目パンパンで不細工なんだもん!」
あははと声を出しながら、ほらと手鏡を手渡される。
「ほんとだ・・ブサイク・・・こういうお魚いるよね」
「ちょっと、圭くんやめて」
圭のボケがよほどツボだったのか、ヒィヒィ言いながら笑い転げている聡美をみると、じわじわと可笑しくなってくる。一緒になって大笑いをすると何故だか少しだけ、気持ちが落ち着いていくような気がした。
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