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一本上手
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「おはよう」
「お、圭起きたか。おはよう」
「おはよー圭くん!」
土曜という事もあり、家には叔父と聡美がいる。一人でいるのは寂しい。今日は2人がいてくれてよかった。などと寝起きの頭でぼーっと考えた。
それから聡美と一緒に洗濯や掃除を終わらせ、体が痛いという叔父のマッサージをしてやる事にした。
「叔父さん仕事大変みたいだね」
「そうだなぁ、出張が多いからどうしても移動で身体が痛くなるんだよ」
「あ、そうだよね。ビジネスホテルのベッドって硬いの?」
「そんなに硬くはないけど、やっぱり家が一番リラックスするもんだよ」
なんて、他愛のない会話をしているだけでも、今の圭には救われる気持ちでいっぱいだった。
30分程ゆっくりとマッサージをすると、叔父はお駄賃だ。と5000円ほど圭に手渡した。
こんなに貰えない。と言ったのだが叔父はぎゅうっと圭の手にお札を握らせると、笑いながらどこかへ出掛けて行った。
叔父から有難く頂戴した5000をしまおうと、自室へと入ったのだが、いくら探しても財布が見つからないのだ。
「え、うそ・・」
焦る頭をフル回転させた結果、たどり着いた答えは一つだった。
「うわ・・・財布東條さん家じゃん・・やっちゃった・・」
ここに至るまでに1週間程あったと思うが、なぜ気付かなかった?と思うかもしれない。
圭は働いていない。基本的に家の事をやっているため外には出ない。外に出るとしたら、買い出しでスーパーに行くくらいだ。それもスーパーの材料代は聡美から受け取り、お釣りは返す。見事に1週間財布を使わないのだ。
絶対どこかしら抜けている自分がつくづく嫌になる。
連絡を無視している手前、自分から"すみません、財布ありません?"などとは聞けない。
だが、財布が無いのも困る。
息が詰まるような思いで携帯を手に取り、先程まで掛かってきていた番号に折り返しを入れた。
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