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静謐な世情
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家に着いたのは深夜3:00。
既に寝ている聡美と叔父を起こさないよう、静かに部屋へ入り部屋着に着替える。
業務時間中は気付かなかったのだが、初仕事という事で気を張っていたのだろう。部屋に入った途端、急に疲れがドッと圭を襲ったのだ。
風呂は明日起きたら入ればいい。そんな事を思いながら欠伸をひとつする。
疲れてはいたが、圭にはそれが充実した疲れだった。
優しい客に、優しい店長。
仕事とはこういうものなのだろうか。それとも、ETERNALが素敵なだけなのだろうか。
働いた事が無い圭には分からなかったが、いい職場に巡り会えた事で思った事はただ一つ。
この仕事を極めたい。それだけだった。
綺麗なフォームでシャカシャカと軽快な音を立てながら、シェイカーを振る徹は格好良い。
その技に圭は完全に魅入られていた。
東條を見て思うそれとはまた違う。"憧れ"という意味合いで格好良いのだ。
いつか自分も徹のようになれたらな。
などと考えながら布団へ入り、眠りに落ちる前のホワホワとした意識の中で幸せを噛み締め、重い瞼を閉じた。
ヴー、ヴー、と携帯のアラームが鳴り、目を覚ます。
寝惚けた頭で携帯の画面を確認すると、時刻は12:00。
体を起こし、ぐぅー、と伸びをした。
顔を洗うために、リビングへ向かう。
「あ、圭くんおはよう!昨日は何時に帰ってきたの?」
土曜という事もあり、家に居る聡美がソファの上から訪ねてきた。
「おはよう。昨日はねー、3時位だったかな?多分それくらい!」
「大変だね。もう少し寝たらいいのに!」
「んー、もう大丈夫かな、8時間くらい寝れたし十分っ。」
「えー、凄いね!きっと私だったらギリギリまで寝ちゃうよ。今日も20:20に家出るの?」
「いや、今日は19:00くらいには家を出ようかなって思ってるんだ。覚える事沢山あるから」
「圭くんは頑張り屋さんだね。応援してるっ!」
「ありがとう。」
会話をしながら、2人で笑い合っていると、ポケットに入れていた携帯がヴー、と震える。画面を見ると東條からだった。
圭は急いでベランダに出ると、通話ボタンをタップした。
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