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月が /kyrt
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ーside kyー
夜。
夜は永遠。
言いようのない暗闇と静かすぎるこの時間は永遠と等しい
ただ、
先人は言っていた
「満月の夜ほど美しい」 と。
祭りの終わりほど寂しく感じるものはない
あなたの浴衣姿がまた遠くなっていく
手を伸ばしてもあなたには届かない
……当たり前か。
あぁ、
まただ
またこの夢を見てしまった
この夢を見ると、『あなたがいつか居なくなってしまうんじゃないだろうか』 そう思ってしまう
だからこの夢を見ると不安になって言ってしまう
「ねぇ、レトさん、 月が綺麗ですね」
「…あれ?それ前もいってなかったっけ?」
そうだよ。これでもう8回目だよ。
8年間もレトさんのこと想ってんだけど??神様って本当にいるのかな?もういろいろ理不尽じゃないかなああぁぁあ!???
はぁ…いい加減気づけっての…
あ、もしかしてもう既に気づいてる…?
俺の気持ちが嫌だからわざとなのか…?
あーなんかそんな気がしてきた……。
「ねぇキヨくんもしかして、俺のこと分かって言ってるの?」
突然のレトさんの声にびっくりした
俺のこと分かって…?何が…?
「え?何が?」
「…やっぱりいいや!!w」
「えー…なんだよ…」
いやまじでなんだよ…そう言われたら余計気になんだろ!!
…そういやレトさんに告白のこと聞いてみるか…
「レトさんはさ、わざとなの?」
「……さぁ?」
いやなんだよその言い方…
余計分っかんねーよ……
変にはぐらかされるより、もういっそ言ってしまおう
「レトさ「キヨくん。」
俺のレトさんを呼ぶ声が
レトさんの声によってかき消されてしまった
まるでその言葉を言わせたくないように
その言葉を聞きたくないように
「じゃあね」
最初はその言葉の意味が分からなかった。
だけど気づけばもうレトさん家の前にいた
(あぁ…もうお別れか……)
「おう、…じゃあまた明日」
「……うん」
_______
違和感は気づいていた
だけど行動にうつす勇気がなかった。
『なんで泣きそうなの?』なんて言えなかった。聞けなかった。
いや、これはただの言い訳か。
過去のことを悔やんだって
過去のことを何回嘆いたって
過去は変わらないのに
だからと言ってレトさんのいない未来なんて考えたくない
あぁ、やっぱり
やり直すか……
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