アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ㅤ
-
あれはまだ中学生の頃
近所の公園でよくあるフリーマーケットが開かれてた
オレはそれが物珍しく思えてぐるぐる回ってたけど、欲しいものなんてなくて公園の端っこに行った
そこは誰もいなくて静かで心地がよかった
するとそこに、一枚の絵が置いてあった
額縁に入って木の下に置いてあるその白い馬の絵
葉がひとつもついていない枯れ木の下で、ただひっそりと置いてあるその絵は、すごく綺麗に見えた
丁寧ではなく、手の動くままに描いたような荒々しい白馬
その美しい白銀の毛を靡かせながら鳴いている
その絵は、どこか怒っているような、悲しいような、とても複雑になる絵だった
売り物なのかもわからなくて、オレはだれが描いたのだけ知ろうとその絵をよく見ると、絵の隅に何か模様がついていた
「鳥・・・?」
そのどこか鳥に見えるような模様だけで、他に見えるものはなかった
オレは今まで英のこと以外でこんなに興味を持ったのは初めてで、すごく気になった
だからそばにメモを残した
それからしばらくして、偶然鳥のマークを見つけた
どうやらこれは火乃紀という画家のマークだと知って、それから火乃紀先生の絵をたくさん検索して好きになった
初めの頃も良かったけど、火乃紀先生の絵はその時々で色々違くて、喜びが溢れてる絵や、激情溢れるものもあるし、静かで穏やかなもの
でもその全てが繊細なのに荒々しい魅力があって
「だから、好きなんです
火乃紀先生の絵が」
「・・・・・・・・・っ」
っておいおい
オレは何を初対面、というか顔も合わせてない知らない人に話してるんだよ!
「すす、すみません!急にこんな話して・・・っ」
「・・・いや、俺から話振っただろ。
そうか、あれはお前だったのか」
「え・・・?」
キィィ
そんな少し錆びた蝶番の音をさせて開いたトイレの個室から出てきたのは、鋭い目付きに、ツーブロックと呼ばれる黒の髪をした身長の高い人が出てきた
声を聞いててっきりヤクザのような人が出てくるかと思ったけど、見た目からして多分高校生
不良っていうやつだと思う
けど、なんだかすごく、・・・優しい目な気がした
「ありがとな」
「え?あ・・・はい?」
何にお礼を言われたのか分からないままその人はトイレから出ていってしまった
しばらくオレは固まってた
「なんだったの?」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
12 / 19