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(火乃紀side)
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「チッ、終わった・・・」
サイン会の最後の客も終えて脱力する
被っていた暑苦しい仮面も取って床に投げる
「投げないでください」
「・・・クソ宮」
スーツに眼鏡、ワックスで整えられた髪の堅苦しいイメージしか与えない男が俺の投げた仮面を持ち上げる
その後少しジッとこちらを見てくるから、何となくこの後聞いてくるだろうなと嫌気がさす
こいつは感がいいからめんどくさい
「一つ、質問よろしいですか?」
ほらきやがった
「だめ」
それに間髪入れず拒否の反応をする
「何故一組のお客様の時だけ仮面を外されたのですか?」
だがそれを無視して質問をするこいつはやっぱりめんどくさい
「聞くなっつの・・・・・・チッ、理由なんてねぇよ」
「無いわけないでしょう
あちらのお客様も貴方の素顔を見たことがあるようでしたが、それはどう説明なさるおつもりで?」
「説明する気ねぇ」
こいつに説明とかめんどくせぇし、納得なんてしないだろ
別に俺もまだよく分かってない
でも、あいつは俺の“キッカケ”だから
「・・・はぁ、久遠」
「っ・・・ぐ」
あ、やばいな
名前を呼ばれたのに嫌な予感がして立とうとしたが、間に合わず顔を片手で鷲掴みにされる
痛くはないけど屈辱的でイラッとする
どうせこの筋肉バカには力で勝てないし
「俺に隠し事とは、偉くなったな」
「ひね」
「・・・・・・・・・」
「っ、・・・チッ」
「まぁ、この事は後ほど聞くとします」
諦めたのか手を離して元の丁寧口調に戻る
いや、さっきのが素なんだけどな
「片付けはお願いしますね」
「「はい」」
「帰りましょう。火乃紀先生」
そう目を細めて笑う顔は、イタズラを思いついたようなクソガキみたいで・・・
でも、整った顔と、眼鏡の隙間から見える泣きボクロがエロくて
少しドキッとしてしまう自分の心臓を握り潰したくなる
「・・・しね」
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