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「……あいつ…生きてたらオレが殺してやる」
「……、…」
え?と詠朔が聞き返せば、無意識のうちにでた言葉だったのか静彦に不思議そうな顔をされたので『いえ』と首を横に振って流しておいた
いよりの部屋に入ると、ぼーっとしているいよりを澄久が抱きかかえていた
たくさん泣いたのかいよりの目は赤く、その顔は精気がなくて…体は力が抜けてダランとしていて抜け殻のようだ
詠朔はその姿にどう言葉をかけようか一瞬なやんだけど、すぐに二人のそばにかがんで涙でべたついたいよりの髪を撫でる
静彦もそばにより、いよりの手を優しく握ってあげた
いよりはピクッと反応し…二人を認識するとホッとしたよに息を吐き……けどその表情はすぐに悲痛に歪みまだ枯れ切らない涙がポロポロと溢れてくる
「い…いより、泣かないで…珠嘉さんは…きっと大丈夫だよ…」
「そうそう、ふらーっと帰ってくるって!いよりんが泣いてたらしゅかっちびっくりしちゃうぞー」
珠嘉は無事だと二人が言ってくれることは嬉しいし、いよりだって珠嘉は無事だと信じている…でも不安が大きい理由は……
「えーちゃ…しずひこおにーちゃん……お兄ちゃん…お兄ちゃんが……きのう………お兄ちゃんがっ、ぼくに…さようならって…言ったんだ!」
眠りに落ちていく中で、確かに珠嘉がそう言った
いよりを励ます言葉を色々と考えていた二人はその言葉に愕然とした
少し前に同じことを聞いた澄久も辛そうに表情を歪めていよりを抱きしめる
同じ家に住む弟に、こんな事になる前日に『さようなら』
なんて意味深すぎる
もう会えなくなるとわかってて、別れを伝えたんだと誰もが思う
三人も思ってしまった
『あの二人、心中したのか』と
そのあといよりがまた取り乱して泣き喚いたので澄久は二人を部屋から追い出し、追い出された二人はベランダに出て冷たい冬の風にあたる。
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