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敷かれたレール
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珠嘉がいなくなって二週間が過ぎ、冬休みはとっくに終わってるけどいよりは一度も外へ出ずにずっと珠嘉の部屋で塞ぎ込んでる
親はそんないよりに口出しはしてこない、それは優しさじゃなくて無関心だから
もうこの家にいよりを家族として見てくれる人はいない
澄久は毎日いよりの様子を見に来てくれる
まともに食事が喉を通らず喋るのも億劫で身も心もボロボロのいよりを澄久が一人ぼっちにさせるわけがなくて何も言わずにそばにいてくれた
昔から澄久はいよりが困ってる時、怖い目にあってる時にそばにいて守ってくれる、神様がいよりのために作ってくれた王子様だと思えるくらいに
けど今回は受けた傷が大きくて、澄久もいよりを立ち直させられるとは奢っていない
(ベッド…お兄ちゃんのにおいがする)
遺体が見つからないこともあり両親は珠嘉を失踪人扱いにした
まわりは珠嘉はもう死んだものと言っているけど、別れを言われたいよりも珠嘉がいなくなったなんて受け入れられなくてどこかにいると信じている
「いよりちゃん?此処にいるんですか?」
「っ…お母さん!」
ノックの後で母が部屋に入ってくる、母の瑶実も大切に育ててきた珠嘉があんな事になっていよりと同じくやつれてしまっている
けど珠嘉のベッドにもたれているいよりを見て微かに微笑みかけてくれた…母親に微笑みかけられた記憶なんてなくていよりはびくっと体を強張らせた
ちゃん付けで名前を呼ばれたのだって小学校に入った頃までくらいだ
「いよりちゃん、お腹空いているでしょう?焼きおにぎりを作りましたよ」
「!…お母さんの…焼きおにぎり…」
いよりは立ち上がると母の後をついて部屋から出る。
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