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いよりは母親の手作り焼きおにぎりが大好き
けどいよりの好物だからといって瑶実が焼きおにぎりを頻繁に作ってくれることはない
焼きおにぎりを食べたがるいよりを見兼ねた珠嘉は焼きおにぎりを作ろうとキッチンに立ってくれた…その時に珠嘉は唯一料理が苦手なことが判明して結局出来上がったのは醤油チャーハン
四度目の醤油チャーハンが完成したところで珠嘉は自分には焼きおにぎりをつくれないと悟り、かわりに冷凍庫に冷凍の焼きおにぎりを常備してチンしてくれていた
「わっ…いいにおい…たくさん、いろんなのある」
ノーマルな醤油から大葉と味噌の焼きおにぎりにチーズの焼きおにぎり…食欲なんてなかったのに母親が自分の好物をわざわざ用意してくれたことが嬉しくて食欲が湧いてグゥとお腹が鳴る
いよりが席に着けば瑶実は向かいの席に座り急須でお茶を入れてくれる
母の優しさに喜び…そして同じくらいに不気味さを感じながらいよりは焼きおにぎりを一つ手に取るとぱくりと頬張った
それを見計らったように瑶実が口を開く
「お父さんと話をして…今後は珠嘉さんの代わりにいよりちゃんに乙藤家を任せることに決めました」
「…!?」
いよりはおにぎりを喉に詰まらせてケホケホとむせる
今まで両親の期待に応えられた事なんて一度もなかった
勉強も運動もできず、不器用で泣き虫で迷惑しかかけられない
兄と比べて絞りかすのような弟と影で憐れまれてきた
何かすれば失敗し、怒られるから何もできない子になってしまった
珠嘉と跡目を争う土俵にも立てず、将来珠嘉のサポートをすることすら期待されない
そんな自分が珠嘉の代わりをするなんて…
「そんなの…僕…できないよ」
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