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「ありがとう和子ちゃん、また遊んでね!」
「えぇ…また今度…」
バイバイ、と手を振って車を出ようとするいよりを…和子は考えるより先に手を伸ばしていよりの体を抱きしめた
いよりは嫌がりはしないけどいきなりどうしたんだと頭にははてなマークが浮かんだ
抱きしめられたまま固まられて、いよりはしばらく大人しく止まっていたけど耳元でぐすりと和子のすすり泣く声が聞こえてきていよりは心配そうに顔を和子へ向ける
「ごめんなさいいより君…、きっともう会いに来れない…私…結婚するの」
「……えっ」
和子の心はまだ珠嘉にあるというのに和子の両親はいつまでも和子の心の整理を待っているわけもなく別の相手へ和子を嫁がせることに決めた
その相手は和子より十歳以上年上で冷凍食品で有名な会社の跡取りらしい、両家の顔合わせは済んでいるが威圧的な態度ですでに束縛が強く和子は携帯に入っていた男性への連絡先は全て消されてしまった
その中にはすでに繋がらないけど大切に残していた珠嘉の連絡先もあって…消されたことが悲しくて涙を零せばたくさん嫌味を言われてしまった
だからもう元婚約者の弟のいよりと会うことなんて許されない、今日偶然会えたのは本当に嬉しかった
小さくなっていく和子の家の車をいよりはぼーっと見つめている
(好きな人がいるのに、他の人と結婚しなきゃいけないんだ…)
自分と同じだ、と思ったけどよく考えたら全く違う。
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