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「あぁ 千春お帰り。」
「ただいま。あれ?お前 今夜は早いな。」
「うん。ちょっとね。
千春は又先生とご飯食べてきたの?
何?
千春顔色悪いね?耳鳴り?めまい?又転びそうになったの?
どうした?
何だか先生にフラれたような顔してるよ。」
「い いや 何でもねぇ。
そー言えば お前最近 ネイルしてねーの?」
アイツの酒を持つグラスの指先を見て 言った。
「そういえば 最近ジムだのエステだの行ってねぇよな。ネイルは 昔 ゴテゴテとニセダイヤとか 鎖みてぇの着けていたよな。今は爪も短いし うっすらマニキュア塗ってるだけじゃねぇの?
前は米研ぐのにも 邪魔にはならないって ネイルになんかいっぱい着けていたよな。」
「うん。まぁ 邪魔になってね。爪もあまり伸ばすの止めたの。」
「ふうん。良くわからねぇけど。」
「それより 千春。あんた なんか死にそうな顔してるよ。どーしたの?
真弓先生と何かあったんでしょ?
聞いてあげるよ。アタシはさ 男を一回離れたから かえってよくわかるからさ。
そしてあんた自分じゃ気がついてないかもだけど 真弓先生に 惚れてるだろう?
だいたい 真弓先生は アタシと千春のこと 知ってるのかい?
あんた 女と付き合ったことも無いし 男に惚れるゲイじゃないし。
私はさ 千春のこと心配だったんだよ。」
「別に なんでもねぇよ。」
「千春。アタシ前から言ってるよね。
好きになるのに 男とか女とか こだわっちゃいけないって。
その人その人
ケースバイケース。
だいたいさ 他人にあまり興味を示さないあんたが 毎週先生と約束してご飯食べて軽く飲んで。
嫌な人とは普通ご飯食べないでしょ?
先生と一緒に居ることが 嫌じゃないでしょ?
千春?
あんたはアタシに嘘つけると思ってるの?あんたは 顔にすぐ出るし 自分に都合悪くなっても 正直に何でも話す人だしさ。
何百年あんたと付き合ってると思ってんのよ。」
「何百年なんて!お前妖怪かよ。
俺は別に何でもねーよ。」
「ふーん。
あんた 忘れてるかもしれないけど 再来週の月曜から 入院予定だったよね。
まぁ 今回は検査入院だけど。睡眠中の脳波と呼吸だっけ?又CTと MRIだっけ?」
「あ?あぁ そー そーなんだよ。えーと なんだっけかな。ほとんどふらつきは無くなったから まぁ念のためって。
ま 真弓センセーがよ 何だ センセーがな。その 脳波 だか 何だか 最終検査するとかでな。その脳波だよ。脳波な。頭ん中に 血が溜まってねぇか よーく調べるっつって センセーがだな。なんか 調べてくれるっつうか 要するに調べるんだ。頭ん中をな。センセーがよ。
ま 調べるのはよ 他の技師らしいけどな。いや 調べるのは機械か。機械だよな。うん。機械だ。俺は調べられねぇ。もちろんな。機械だ。判断すんのはよ 医者だよ。びょーいん だからさ。医者が居るんだ。びょーいんにはよ。もちろん。」
アイツは 俺の話に 口を挟まず 黙って俺のしゃべりを聞いている。
なんか沈黙が続くと 居たたまれない。
その沈黙を 誤魔化すべく 次々とつまらねぇ話を長々と とめどなく 続ける俺。
しばらく ぐだぐたと話して しゃべり疲れた俺にアイツが言った。
「それで、今夜は何を食べてきたの?」
「ビーフシチューとバケット。あとワイン飲んだ。」
「肉は柔らかかった?ワインは美味かったかい?」
「うん。ホロホロに煮込まれてた」
「肉がそんなに柔らかいと少しだけだと物足りないくらいだったろ?」
「口の中でトロリとほどけんだよ。皿にちょうど良い具合の固さの茹でたブロッコリーが添えてあってな。」
「そりゃ良かった。バケットはどのくらいのスライス?バターはさ 少しだと腹立つことあるよね。」
「それがバケットはさ ポンパ〇ールのでさ。俺 前にあそこのパン好きだって言ったの覚えててくれたみてぇでさ。バターもな 発酵バター。美味いのなんのって。バターが足りなくなったら冷蔵庫からおかわり出してくれてさ。」
「料理出来るまで 温めるから時間かかったんじゃない?」
「おうよ。だからさ 食器棚からワイングラス出してくれてさ 待ってる間にワインでも飲んでてって。」
「そのワインが又美味かったんだ?」
「スゲー美味かった。シチューも美味くておかわりしたもんよ。」
なんか アイツ何にも言わねぇから 真弓センセーのこと。話を逸らすこと出来たかな?真弓センセーのこと聞かれるかと 思って焦ったなー。
俺は自分でも気が、つかないうちに 真弓センセーと過ごした楽しい夕食の話をべらべらとしゃべっていたのだった。
バレてねぇよな。
なんか 有ったってさ。
いや別に何も無かったもんよ。
うん。無かった。
真弓センセーにとっちゃ 取るに足らねぇことなんだろうな。
俺は アイツに分からねぇように 心の中で こっそりため息をついた。
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