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真弓side
寝てしまった千春の中から 自身を剥がすように からだを離して 無断でバスルームを拝借して シャワーを浴びる。
バスルームの入口に棚があって きちんと同じ色のタオルが 大小のサイズごとに きちんと畳まれて 並べられていた。
それを拝借して タオルを数枚濡らしたものと乾いたモノで千春のからだを浄めていく。
からだをタオルでこすっても千春は目を覚まさなかった。
当然かもな。
もう無理 と 半泣きしながら くったりしていて 最後は もう 人形のように 揺らされるままだった。
しかし 意識のない このからだ。集中治療室のあの頃を思い出す。
あちこち擦り傷があって 関節は腫れて骨折部分は赤黒く変色し 呼吸も安定していなくて 幾つものチューブと血圧 心拍のパッドを貼り着けた からだ。
救急車から担架に乗せられていた千春は血にまみれ 顔色もまるで無く 命が危ぶまれる状態だった。
加害者である前の院長が現場で適切な応急処置をしていなかったら どうなっていたかわからない。
現院長の親友に 携帯で処置の指示をしてしなかったら どうなっていたか。
僕も事故状況を聞き 前院長 現院長の指示のもと 早急な治療を行うことが出来た。
不謹慎だが 集中治療室で 寝ている千春を見て 心がざわついた。意識を回復した千春を見て いとおしくて。
回復して 話せるようになって その人柄にも 性格にも どんどん惹かれて。
同居者の存在に 心 挫かれて 悩んで 苦しんで 哀しくて。
それでも それでも 諦められなくて。
個室だったことが 今になって好都合だった。看護師達と千春がよく世間話をしていたようで 千春の噂には事欠かなかった。
とにかく何が人を寄せ付けるのか 誰からも好かれていた。
看護師達が 千春のことを好意的に捉えているのは面白くなかったが 真弓も話を交わす内に 看護師達の千春に向ける好意が わかるようになっていた。
恋愛的な下心は千春には一切無いようだが 人を寄せ付ける。
不潔感が無い 不快感が無い 爽やかさに溢れている
男も女も惹き付けるフェロモンが出ているのではないかと本気で 思ってしまう。
リーダーシップのようなカリスマ性とも違う。そんなアクの強いものでは無い。
欠点が無い と いうより 長所しか無い とも言い切れない。
生まれながらにして 万人から愛される人間とでも言えば良いのかな。
人から好かれるべくして 存在する人間?
女であれば 人類最後の2人になってもあなたなら良いと言わしめるだろう。
男であれば 楽しく生活していけて やがて 好きになって性交するのもやぶさかではない と言わしめるだろう。
不思議な 人間 千春。
誰でも 惹き付けてしまう 人間 千春。
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