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『和美はさ、千春を教育してきたようなもんだよね。』
千春との因縁というか 経緯を知っている彼女は そう言った。
『和美はさ、本来 末っ子で甘えたいトコも有るのに 意地を張り続けて 千春の保護者みたいな立場に自分を追い込んじゃって。
千春だって働いていて 世の中の荒波を知らない訳じゃないし。
金が多少有っても 無駄使いするタイプじゃないし。
かといってワガママじゃないし。
素直で 他人の言うことを自分なりに考えて行動出来る人間だよ。
この年になれば親が亡くなっている人もたくさん居る。
もう和美が 細かく言わなくても 分かっているし 常識も分別もわきまえてるよ。
和美は自分が模範になろうとして 自分を律して 自分に厳しくして 疲れちゃってると思うよ。
もう やりたいように 思うままに生きて良いと思うよ。』
何もかも 理解している彼女はアタシにそう言って優しく微笑んだ。
千春が事故で入院して
意識が回復し 個室病室に移りリハビリを 開始していた。
『千春の保護者から 卒業していいよ』
と 言ってくれて。
とても気持ちが楽になっていった。
そして千春の入院中は 彼女の一人住まいのマンションに度々訪れ 心安らぐ時間を過ごし 一緒に住みたくて仕方無いほどになっていった。
彼女は 何も促すような言葉は言わなかったが そろそろアタシも限界だった。
千春と同居を解消して 彼女のマンションに引っ越して同棲を始めたかった。
千春に
少しずつ少しずつ 恋人の存在をほのめかし
アタシも肩肘張らずに 内面からの女性としての充実感や意識の高まりを感じていった。
素直に 自分の思う性を自分自身が感じるままに
外の人間に 自身の女としての性をアピールする必要なんて無いんだ って
思えるようになっていった。
女だから装身具を見せびらかす必要なんて無い。
女だから化粧をしなければ なんて思う必要なんて無い。
女だから女っぽい明るく赤みの強い色の服を着る必要なんて無い。
女だから女言葉に こだわる必要なんて無い。
あるがままに 生きて 女を、楽しめれば良い。
彼女という存在が アタシを
生きやすい生き方を導いてくれた。
退院した千春に医師の恋人が出来たらしいある日
アタシは
千春に
恋人が出来たこと
その元カノを愛していること
ひとときたりとも離れたくないこと
一緒に住みたいので千春との同居を解消すること
等を 千春に告げたのだった。
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