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71(或モブ視点)
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結局 女達が あの人に食堂で声をかけたらしいが 黙って首を横に振り 食事が丁度終わっていたらしく 次の言葉をかける暇なく 彼は食堂から出ていってしまったらしい。
その後彼のことは皆の好奇心を持たせるらしく様々な噂話が 他のバイトからもたらされた。
タバコを吸う人らしいが 自身の持ってきた携帯灰皿に 律儀に吸い殻を捨てている。
洗濯機置き場には毎日現れて 柔軟剤も律儀に使っている。
おすそわけに彼の部屋に押し掛けた女がびっくりするくらい 部屋が綺麗だった。もちろん部屋には入れなかったが 狭い玄関の土間も塵ひとつ無かった。
酒を飲むらしいが 人前では というか部屋で飲んでいるらしい。
いつの間にか厨房の調理師と 割と話すことが多くなって ときに 多忙な厨房の中で皿洗いなんかをしてるとか。
ディーンは調理師をしていたんじゃないか?
和室の客から 声をかけられることが 頻繁にあるらしいとか。
従業員の上司に異動を願い出たとか。
車を持っていて ホテルの社用車等の駐車場の奥の奥に停まっている黒い車に乗っているとか 白い車だとか。
とにかく普通のバイトと違って住み込みというのは 普通のバイトより何倍もバイト仲間が 親しくなる。
親密になる。
又仲良くしなければ やっていられなくなる。
嫌なら 息抜きもままならないし 自宅に帰って仕事を忘れることが出来ない。いや 自宅が今はないのと同じだ。住み込みなんだから。
四六時中 朝から仕事で一緒だし食事に外へ出掛けることも無いし。
食事も昼だけではない。朝起きて顔を洗ってすぐ仕事場同然。寝ぼけまなこで朝飯から仕事仲間が居て トイレでも顔を合わせるし 着替えも 仕事場へも一緒で。
一区切りしてお茶を飲むのも一緒。
昼飯を食べに行くにも 昼飯も 休憩も 仕事も。仕事が終わって風呂も夕食も ヘタをすれば部屋も一緒なのだ。
スマホをいじっていても側にはバイト仲間か正社員。又は頭を下げなければならない宿泊客が 常に居る。
せいぜいトイレの個室が孤独に浸れる場所かもしれない。
だから 情報もいち早く共有することになる。
当初は誰が何処出身だの何処の大学だの 親がどうだ兄弟がとか どんなアーティストが とか プライベートの話。
だが そこにプライベートを明かさない人間が居たら 興味の目が、いく。
ましてや 多少 好ましい人間なら 親しくなりたい その人となりを知りたくなっていくのは当然の成り行きだった。
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