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74(或モブ視点)
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その日従業員用の食堂は珍しく 人が居なかった。いつも誰かしら食事をしているのに がらんとした食堂で掃除のおばちゃんが 床を拭き終わったモップを片付けて 食堂から出ていった。
食事をするテーブルに 調理師のおっさんとあの人が 食事をしていた。
俺は軽く頭を下げて挨拶して 適当なおかずとご飯をよそり 少し離れた席に座って食べ始めた。
おっさんとあの人の会話が聞こえてきた。
「校長。それ醤油掛けなくて良いのか?校長よ。」
「やだな。あんたまで 校長って呼ぶなんて」
「だってさ。あの中学生の坊主がさ。
くっくっくっ……
あんたのこと追いかけながら 校長!山手校長って。
山手校長 って 名前呼んだから 間違えだって俺も分かったけどさ。
よくよく聞いたら 校長と同じジャンバーだって!
あんとき買い物に行こうとしてたから あんたも上着着ていたからな。まさか校長とあんたが同じジャンバーとはなぁ。
考えてみりゃ あの校長とあんたは同じくらいの背ぇだしな。髪型も同じようなもんかもな。後ろ姿だけなら似てるかもしれねぇ。
まぁあの中学生の坊主も あんたが振り向かないから 従業員のこの食堂まで追っかけて来て 校長センセ~って 叫んでいたもんな。
あんときは又 アルバイトの子結構居たしな。皆びっくり呆気にとられているし、あの坊主も沢山の従業員を見て固まっていたし。
思い出すと笑えるよな。あはははは。」
「でも あのあと あの坊主を本館まで送っていったらね 本物の校長と ばったり会っちゃって。校長から 飲みに行こうって。しつこく誘われてンスよ。」
「あぁ あの校長 中々気さくな人みてぇだな。誘われてるんなら 行ってくりゃいんじゃね?
あの有名学校の校長先生となんか 知り合いになれることなんざ 普通はねえし。」
「でも来週からこの厨房やらせて貰うんで 夜更かしの癖ついたら困りますから」
「あんた真面目だなぁ。来週からなんだから 今のうちに夜遊びしてくれば?」
そのおっさんの言葉にあの人が頷いたかどうかまでは 確認しなかった。
そうか あの中学校の校長に間違えられて あだ名が校長になったのか。
そうか来週から この厨房の仕事をすることになるのか。
そうか あの人はあの中学校の校長と親しくなったのか。
益々何か遠くなってしまったような気がするなぁ。
そう思いながら 〆のお茶を飲んでいると
厨房の調理師のおっさんが 俺に
「なぁ あんた この保温中のおかず そろそろ廃棄するんだ。新しいのに入れ替えるんだ。ローストビーフが余っちゃってるんだけど もう食わねぇか?」
ここの従業員食堂は 宿泊客に提供した物のお下がりが 結構あって それだけに時間が経つと早々に廃棄される。
内容的には豪華だが 時間が経つと次々に廃棄となる。勿論客が食い散らかした物をそのまま出すわけではなく 客の数を見ながら提供するが 作りすぎて出さずじまいの おかずを従業員用に バイキング方式で出されている。
腹いっぱいだったので首を横に振ると OKって答えがかえってきた。
そしておっさんはあの人に 飲みに行くのかい?
などと 聞いていたのであった。
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