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80(千春)
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このアルバイトに来てから 初めて他人と話したような気がした千春だった。
ここに来てから酒らしい酒は ほとんど飲まなかった。
せいぜいノンアルコールのビールもどきを飲むだけ。
有名な学校の中等部の校長だという人間と知り合ったのは ついこの間。
学校の人間 いや 教師というモノは好きじゃなかった。
でもこの校長は今まで千春が知っていたイメージの人とはチガウ。
世の中の医者と呼ばれる職業の人。
教育者と呼ばれる人。
政治家 会社の社長
等々。
周りに居なかったし 良い印象なんてなかった。みんな偉そうにしていて 人を見下す奴ばかりだと思っていた。
つい最近も その価値観が壊された。
壊れたどころの話ではない。
その人のことを好きで好きで………
だから その人に頼ってしまっていいものかどうか 悩んでいたら 親友が 自分のもとを去ることになって。
自分を見つめ直し 自分の自立を考え 自分で考えて他人だらけの中に飛び込もうと。
何もないところから始めて 支えや導きのないところに 自分を置いて考えてみようと決心した。
でも心は親友を求めていない。
親友とあれだけ長く過ごしていながら 心はあの人だけ。
でも 好きだからこそ 重荷になりたくない。負担を強いたくない。
いや 呆れられて 嫌われたくない。
もっと強く男らしくなりたい。
捨てられたとしても 迷いなく生きていける人間になりたい。
親友が離れていくと分かって初めて知る自分の不甲斐なさを実感した。
もちろん一生親友の和美の言いなりに安穏と生きていこうと 思っていた訳ではない。だけど 和美が俺の側で
これはいけない。これは良い
と
いつも言ってくれたから 間違いなく生きて来たように思う。
でも
真弓さんが
煙草を吸いたけりゃ ここで吸えばいい。
壁紙汚れたら 張り替えすればいいんだよ。と言った言葉に衝撃を受けた。
物事を横から見たり斜めから見たら 難しくないんだよ。
って 言ったとき。
俺はそういうことさえ 頭に浮かばなかった。
これじゃあ ダメだなんだと思ったんだ。
何がってうまく言えないけど
俺の何かを変えなくちゃって。
でも 寂しくて 恋しくて 苦しくて 会いたくて会いたくて会いたくて会いたくて会いたくて会いたくて。
そんなとき
あの校長と会った。
なんか器が大きくて
オトナのオトナのオトナって感じ。
そして
一緒に酒を 飲んで
心があったかくなって
何となく
色々話しちまった。
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