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83(真弓)
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『ねぇ。今夜は勇おじさん来るから あんたも週末だしこっちに来なさいよ。』
母からメールをもらった。
週末だというのに クリニックも行く気になれずに 病院の近くの友人宅で 目を覚ました。
千春が居なくなって早くも2ヶ月。
寝ても覚めても千春のことばかり考えている。探偵事務所にも依頼した。
が、ようとして行方はわからない。
千春が仕事を継続していれば 簡単だが 退院後にやめてしまっている。
運送会社も横浜市内をあたったがめぼしい情報は得られない。
病院関連も重篤な病気なら情報共有出来るかもしれないが 千春は必要なら耳鼻科関連に行くだけで 特に処方する薬もない。
何度も携帯に電話をかけたりはしているが出てくれない。メールは毎日毎日送っている。暇さえあれば 時間に関係なく『どこにいるの?』から『愛しているよ』は欠かさず。
時々 千春を責めてしまうようなことも送ってしまうが でも 会いたい。
毎日のように会っていたのに。
千春の為なら 君を照らす灯りになるのも厭わない。
会えなくなって初めて知る君の笑顔に癒された日々。
もっと自信を持たせて輝くような笑顔を毎日見ていたい。
毎日君と朝陽を見て 食事を共にして 夕日を笑いながら見て 同じ布団で眠りたい。一日中君を抱き締めていたい。
君をこの腕に。
この胸に。
そんな切なく辛い毎日を 送っていても 時は経ち 生活をしていかなくてはならない。
重い心と身体を引き摺りながら 患者と向き合い 命と向き合い 仕事をしていく。
そうか クリニックもしばらく行っていない。両親の顔もしばらく見ていない。
いずれは千春を家族に会わせてと思っていたが それもいまだに果たせなくなってしまったなぁ。
ため息をつきながら 重い足取りで 実家に向かったのだった。
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