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88(モブ視点)
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あの人と校長が肩を寄せ合うようにスツールに座っている。
しかも 近付くと校長の手はあの人の手に自分の手を重ねようとしている。
今夜を含めてあの人が校長と飲んでいるのは何度目だろう。
今夜は二人きりにさせたくない。
あの校長が率いるあの中学校の宿泊体験は終わったんだと思っていた。
一度引き上げたよな。
でも2、3日して 又来た。
今度は違う学年が1クラスごとに 又来た。
終わりだと思ったのに。
あの校長も帰ったと思っていたのに。
何気なさを装いカウンターで呑んでいる2人の肩に手を乗せて声をかけて ボックス席にいきましょうと 促した。
校長は
この間も このバーにいらしてましたね とニヤリと笑った。
あの人は
びっくりしたような 少し安堵したような表情だった。
校長は
優位に立ちたいのか 親しさを見せつけたいのか あの人の肩を抱き エスコートするように ボックス席に移動した。
あの人は その肩に置かれた手をさりげなくかわして 割りとしっかりした足取りで歩く。
新しい灰皿が置かれ コースターに新たなグラスを置いて オーダーされた綺麗な色のカクテルが注がれた。
校長が
今ね 素敵な恋の話をしていたんですよ。と 静かに話した。
すると
顔をあからめた あの人が
好きな人が 居るんだ!
と 絞り出すように 呟いた。
それからは杯を重ねるにつれ あの人は堰を切ったように
恋の話を した。
自身の不甲斐なさを吐露する。
確かに 男として 相手に導いてもらうしかなかったのは 辛いかもしれない。
でもそんなカップルがいても 良いと思いますよ。
と 言うとあの人はにっこり嬉しそうに笑った。
その時 校長のスマホが鳴った。
学校関係なのか 聞かれたくない話なのか スマホに耳を当てて店の外に出ていった。
それを見送りながら
あの人を慰めた。
好きならどういう形のカップルが居ても良い!
色々な人が居て 相手の人がそれで良いなら問題ないですよ!
相手の人はあなたを好きなんでしょ?
あなたもその人が好きなんでしょ?
経済的にあなたが相手の人に全部寄りかかる訳じゃないなら 堂々と胸張って良いんじゃないかな?
理知的な人に 男のあなたが包まれたっておかしくなんかない!
好きなら 離れちゃいけない。
相手の人は 心配してくれてるんてしょ?
毎日メールやら電話くれるんでしょ?
迷うことありませんよ!
好きになった人が 自分を好きになってくれるなんて こんな素晴らしいことありませんよ!
何を迷ってるんですか?
向こうも探してるんじゃないですか?
会って 2人で話し合って 方向を模索していけば良いことでしょ?
好きなら 離れちゃダメです。
あの人は飲み過ぎたのか
ボックス席のソファで スマホを握り締めて舟を漕ぎ始めていた。
店の入口を見ると 校長の姿は見えなかった。
あの人が握り締めていたスマホをそっと外して 見ていると スマホが震える。
メールのようだった。
失敬して 電話帳から真弓という名前を検索すると どうやら横浜市内。
その真弓と言う名の人に千春さんのスマホを拝借して電話をかけたのだった。
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