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変われた日々
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reto side
キヨくんのために寝巻きを風呂場に置いてから、俺はまたソファーに座りながら、ただただぼーっとしていた。
考え事をしても、行き着く先はやっぱりキヨくん。
一生結ばれることのない人について想いを馳せる俺は、傍から見たらどんな風にうつるだろうか。
「キヨくん…」
思わず想い人の名前を呟く。
叶わないって知ってるのに、なるべく考えないようにしようって決めたのに、どうして
この想いはとまることが出来ないのだろうか。
昔、学生時代の時俺は2個上の先輩に恋心を抱いていた。
その先輩は生徒会長で、書道部の副部長もしていた。
完璧すぎる彼女とまだまだ幼くて頼りない俺は、住む世界がそもそも違った。
でも、好きだった。
すごくすごく好きだった。
風の噂で先輩に大学生の彼氏がいることを知った時、俺は胸が押し潰されそうな思いだった。
苦しくて、苦しくて、ひたすらに苦しかった。
好きにならなきゃよかった
そう思った。
苦しくなる恋なら最初からしたくない。
どうせ叶わない恋ならしたくない。
……なら俺は、キヨくんを好きになったこと、今後悔しているのか?
…わからない。
わからない、俺は後悔してるのか、キヨくんのこと好きにならなきゃよかったって思ってるのか。
胸がぎゅうぅと苦しくなって、目頭がじわっと熱くなる。
「うぅ…ぅ…」
涙がとまらない。
叶わない恋をしている人は、皆こんなおもいをしているんだろうか。
こんなおもいをしてもなお、その人のことを真っ直ぐに好きでいれる人は、いるのだろうか。
俺は泣き疲れて、眠りに落ちていった。
…
……
………なんだろ、名前呼ばれてる気がする。
「…トさん、レトさん」
この声は、キヨくん?
なんでキヨくんがいるんだ?
あぁ、そういえば実況を撮りに俺の家に来てたんだ。
「…………」
なんだろう。
キヨくんは小さな声で何か呟いている。
なんて言ってるのだろうか、全然聞こえない。
「…レトさん…俺…レ…さんのことが……」
「…レトさんのことが…好きなんだ」
……え?
どゆこと、キヨくんが俺のこと好きって…
あ、わかった。これは夢なんだ。
キヨくんが俺のこと好きなんて、そんな夢みたいな話、現実で起こり得るはずがない。
……とゆうことは
今いるキヨくんは俺のことが好きなキヨくん。
俺もキヨくんが好き。
つまり両想い。
じゃあ、じゃあ、現実ではできないこともユメではしちゃっていいんだよね…!?
ああ、神様許してください。
せめて夢の中では自分の気持ちに素直に従わせてください。
俺はゆっくりと目を開けて横を見る。
そこには隣に座っているキヨくんがいた。
キヨくんは大きな目をますます大きくさせながらこちらを見た。
「れ、レトさん!?起きてたの…!?」
いや〜夢の中ってすごいんやな。
声も顔もリアル。
現実のキヨくんがそのまま夢の世界にきたみたいだ。
「キヨくん……」
俺はキヨくんの右頬にそっと手をあてる。
愛しいキヨくん。
顔も声も身体も全部が愛しい。
ハグしたい。
「ぎゅってしていー…?」
YES No 待たずに俺はキヨくんを抱きしめた。
どうしよう…幸せすぎて泣きそう。
とゆうか、もう涙が出てる気がする。
現実でも泣くし夢でも泣くって俺、大丈夫かなw
あぁ、この時間が終わらなければいいのに。
ここが夢の中なんてどうでもいいんだ。
今俺が抱きしめてるのがキヨくんだっていう事実が、どれだけ幸せか。
「れ、レトさん…!?」
キヨくんは驚いた声を発しながらも、俺を抱き締め返してくれた。
……大きな手やなぁキヨくんは。
全部、全部が大好きやで。
「…俺さ、キヨくんのこと好きになんなきゃよかったのかなぁって思ってたけど、嘘だ。俺、キヨくんのこと好きになれてよかった」
こんなに幸せな気持ちになれたのもキヨくんがいたから、キヨくんに恋をしていたからなれたんだ。
そりゃあ、苦しかったけど、その気持ちも、いつかは愛おしく思える日が来るはず。
キヨくんが他の誰かを好きでいても構わない。
俺はキヨくんからもらった愛しい気持ちを大切にしながら、キヨくんのことを好きでい続けよう。
俺は大好きな匂いが溢れる中、目を静かに閉じた。
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