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この世界にはα、β、Ω、が存在する.
自分は極々普通に暮らしてまぁ性格がアレで友達とかは少ないが平凡にβらしく暮らしてた.
それなのにある日その日常は壊された.
生活資金をカフェで稼いでいてその帰り道.
何者かに襲われて薬を打たれた.
身体に電流が走ったかのように熱くなった.
襲った奴は常連客で突然の事でそのまま押し倒された.
抵抗しようと相手の腹や胸元を蹴ったり殴ったしかし相手は意に返さず自分の両手を掴んで離さない.
力の差は歴然、拒むのを諦めた.
身体が変化したのに気づいたから.
自分はβからΩになったのだ.
気持ち悪いイチモツを入れられるその瞬間変態はぶっ飛ばされていた.
「このクソやろ!無理やりなんて男じゃねぇ!」
厳つい男で正直言って見た目が明らかにヤクザ…
何事か分からずポカーンとしているとそいつは自分を抱きかかえて何故か車に乗せられた.
あー…自分はΩだから売り飛ばされるのか…
今暑いのは噂によく聞く発情期とやらか?
絶望では無く放心していた.
臓器売買か?性奴隷か?
ぼんやりと外を眺めていると大きな和風の屋敷の前で止まった.
この厳つい男の屋敷だろうか?
そんな事を考えていればまた自分を抱きかかえて屋敷に入った
声を出そうにも色々もう面倒臭い、抵抗してもきっと無駄だ.
あと、頭もぼんやりして回らない.
スタスタと歩いてとある部屋で止まり障子の戸を開いて中に敷いてあった布団に降ろされる.
抱かれてた時に思ったが普通に身長も高いし体格も良い.
というか筋肉ムキムキのマッチョ.しかも顔怖い.
そんな奴に見下ろされると迫力があって少し身じろぎする.
「お前、名前は?」
「…人に名前を聞く時は自分からだろ.」
ヤクザにこんな事を言えばきっと殺されるだろう.
でも少しでも強気に出ないとさすがの自分でも怖い.
殴られるか脅されるか…と思っていたがその逆で
「あぁ、悪い.俺は五朗だ.五朗ちゃんって呼ばれてる.」
なんというか見た目に似合わない呼び名だな…
ちゃん呼びなんて、フレンドリーな…
相手が教えてくれたのに教えぬのもおかしいので一応下の名前だけ教える.下の名前なんてよくある名前だし.
「…俺は龍馬、俺になんの用?俺は売っても安いよ.」
「はぁ?売る?.」
意味がわからないとでも言いたげな表情を浮かべて首を傾げる.
「だから、俺がΩだから売るんだろ?」
「………あ、あぁ!違う違う!そんなんじゃねぇさ.」
相手の様子だと本当に違うみたいだがただそこに居たから売るのかもしれない.それか安心させて信頼しきってから売り払うのかも…
「帰りにいい匂いがして近寄ったら龍ちゃんがいたのさ.」
おい、龍ちゃんってなんだ…いやまぁ呼ばれたりするが初対面のヤクザに呼ばれて嬉しくなる呼び名ではない…
「…いい匂い?あー…噂によく聞くフェロモンか.」
「そうそう、匂いが濃くて酔いそうだった.」
「ふーん…本当にΩになったのか.」
「うんうん……ん?Ωに“なった”?」
まぁそらそう反応するだろう.自分もそんな事聞けばそう聞き返す.
「俺は元はβだ.両親もβ同士.純粋のβだが?」
先祖にαやΩが居ればたまに遺伝するらしいが家族に聞けば本当にずっとβ同士で繁栄してきたらしい.自分の親戚は全員β.
そんな奴がβからΩになるなんてほぼないだろう.
「はぁ!?βからΩになるなんて…」
「何かさっきの奴に薬でも打たれた.」
「なっ、それをまず言え!クソっ…あいつ!!!」
あの常連客…いや変態を知っている様子.
なんだ?あいつはヤクザの子分でもしてたのか?
そんな人に揉め事を巻き込まれたとしたら自分は死ぬな.
五朗という奴は障子を開けて近くにいた部下に何やら慌てて指示を出していた.さっきの薬は麻薬か何かだったのか?
依存性があったら嫌だな…
収入はそんなに多くない.依存したら一気に破産してしまう.
「悪い…俺の部下が薬を持ち出してな…」
さっき外で話してた話を繋げると自分に惚れて薬を持ち出し今日の帰りに一生1度の大覚悟を決めて襲いかかったらしい.
こんな男じゃなく女にすればいいもの…
「大方俺に目をつけてそれで悪用かい?」
「まぁ、そうだな…あってる.」
顔を顰めているのは自分の部下が一般人に手を出して第2性を変えてしまったからだろう.
「ふーん…まぁ、気にしないよ.βもΩも大差ない.」
「は…?Ωになったのに?」
「あぁ、前も狙われたりしたし.」
「そ、そうか…」
「だから、気にすんな.俺は帰る.」
そう言って立ち上がろうとするとΩの発情期のせいか足がふらついて前のめりに五朗に倒れ込む.
「っ…悪い、まだ発情期とやらが抜けないみたいだ.」
「それ1週間は続くぞ.今帰れば完全にαの餌だ.」
あー…よくニュースである突然発情期になったΩが強姦をされたとかって話か…
「…車で帰ればいいだろ.てか、お前は平気なんだな.」
「あー…いや、結構辛いぞ…?」
確かに額に汗が浮き出てる.顔も顰めたまんまだ.
「あー、βでもフェロモンに当てられるか.悪いな.」
「…違う、βじゃない.αだ、俺はα.」
「……なんで平気そうなんだ?」
「だからっ!平気じゃねぇんだって!」
床に倒れ込む様に押し倒された.本日二回目.
あー…これが女の子にされてたならまだ喜べたのに…
なんでろくに知りもしない野郎に押し倒されなきゃならないのか…
必死に耐えている顔で自分を見る五朗とやらは紳士というか漢だな.友人のαが言うにフェロモンを嗅ぐと心臓を鷲掴みにされた感覚だとか.あと、伝説の運命の番なら壊したいほどになるらしい.
「離れたらいいのになんで離れないんだよ.」
発情期になったのは薬を打たれてから身体の暑さは打たれた時より暑い.それなら今は物凄くフェロモンとかが出てるはず.
噂通りならαは心臓を鷲掴みにされた感覚で壊したいのだろ?
それで耐えるなんて辛いだろうになんで離れない?
ジッと相手を見ていると苦しげな顔で
「…龍ちゃんに一目惚れしたから.」
なんてほざく.冗談にも程がある.
「意味が分からない.」
「龍ちゃん、お前さんは俺の運命の番だ.」
「バカ言うな、夢見てんじゃねぇよ.」
「本当に、そう思うんだ!」
「っ、ふざけんな!」
相手の顔を思い切り殴る.
ヤクザのきっと頭なんかを殴れば死ぬ以外選択肢はないがもう今はどうでもいい.頭がこんなので組が大丈夫な訳がない.自分のフェロモンのせいでバカ頭がさらにバカになるのは勘弁だ.
「俺は今までβだったんだ、そんで今さっきΩに変わった!運命の番がそんなついさっき出来るわけがないだろ!?運命は産まれた時から決まってる、そういうもんだろう!なのに頭がついさっき見つけたΩに惚れてバカな事ほざいてんじゃねぇ!ばっかじゃねぇのか!頭がそんなホイホイ夢に現ぬかしてんじゃねぇよ!大バカ野郎!」
はぁっはぁっ…と元から息が乱れているというのに更に頭に血が上った勢いで言ったせいで頭が朦朧とする.
グラグラと視界が揺れる.
相手は目を見開いて固まっている.そりゃ殴られた挙句説教なんざ怒り狂ってるに決まってる.今もキレて言葉にならないほど怒り、それを耐えてグルグルと思考しているんだ.
あ、死んだな…自分.
「………」
「わ、悪い…つい勢いで…その…」
「…高…な」
「えっ?」
「お前さん、最高だな!やっぱり俺が惚れた奴!」
何故か相手は目を輝かせて嬉しそうに自分を抱きしめる.
いや、意味が分からない.本当になんで?
初対面で上から目線で殴って説教した奴に惚れたなんて頭がいかれてる.相当ドマゾじゃないと無理だ.
あー…痛みになれた奴はドマゾになると聞くかコレがその見本か?
「な、なんでだよ!?普通怒るだろ!殴られて説教なんざ!」
「いやぁ、そんな所も良いなぁ!俺に楯突く奴なんて本当に初めてだ!」
「……ドマゾ.」
「ははっw龍ちゃんだけさ!」
おい、そんな自慢げに言う事じゃねぇだろ.
「俺は心も何も許した覚えはない、惚れる事は有り得ない!」
「なら、惚れさせるさ.何が何でもな.」
っ…顔が怖いがよく見ればかっこよくない訳でもない.
そんな顔が自分に真剣に男前なセリフを言えば惚れかけ…
ない!惚れない!絶対!!!
「………帰りたい.」
「今日からここに住めよ!なぁ、住んじゃえよ〜!」
「…もう今は寝る.」
流石にグルグルと酔っている様な状態の頭が動くわけがなくショートしたかのようにその場に倒れ気を失った.
「…運命なんざ、神の気まぐれなんだよ?龍ちゃん.」
そう言って龍馬を撫でる五朗が部屋で楽しそうにしていた.
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