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カエルの王様1
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むかしむかしのお話です。
とある国に動物好きの王様がおりました。
彼は動物を心から愛していました。
国務よりも昆虫採集とバードウォッチングを優先する王様に、大臣は日々頭を抱えておりました。
「ラファエル様!また森に出られるおつもりか!」
「…これは大変。バレましたね」
城中に響かんばかりの声の主は、白髪頭をピシッとオールバックにし、髪と同じ色の口髭を生やした王付き執事のローランドです。
今まさに王室の窓から抜け出そうとしていた長身の優男が、この国の国王であるラファエル王であります。
「これは大変、じゃありません!あなた様の脱走のおかげでこの老いぼれ執事は気が休まる暇がありませんぞ!」
国王の正装とは打って変わってとてもラフな格好をしたラファエル様の首根っこを掴んで、ローランドはずんずん歩みを進めます。
「脱走だなんて。辛い国務の合間の息抜きですよ。」
そんなラファエル様の話しなど聞いてはいないようで、ローランドはまだブツブツと小言を言っています。
「先代王のサイモン様が知ったらどんなに嘆かれるか!ラファエル様ももうよいお歳だというのに、あなた様のその趣味の為か見合いの話一つないのですよ!」
「私は見合いはしたくないのです」
「だから、したくない、以前の問題なんです!」
そう、
黙っていればいい男、とはよく言ったもので、その長身と優しそうな顔立ちの為想いを寄せる者も多いラファエル王なのですが、如何せんその容姿より先に、彼の異常なまでの動物愛の噂が広まっており、見合い話まで至らないのでございます。
「大体、舞踏会に餌付けしたリスを連れて行く王がどこにおりますか!」
「彼はモリーです」
にこやかに笑うラファエル様に、ローランドはますます頭を抱えました。
「とにかく、来月予定のあなた様の30回目の誕生会には各国から来賓が来られます。もちろん姫君方もです。ですからその時だけはモリーも、他の動物達も連れてくるのは禁止です!」
「なんでです?」
「皆あなた様と一緒で動物好きとは限らないからでございますっ!」
ローランドの叫びにも近い言葉に、ラファエル様は「近くで見て触ってみれば好きになると思いますよ、誰でも」と可笑しそうに笑われました。
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