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あの日から、椎河さんとはたまに連絡を取り合うようになった。
でも、2人だけで会ったことはない。
「妃捺ちゃんと連絡取ってるんだって?」
「何で知ってんの」
「澪央から聞いた」
「そう…」
「いい感じなのか?」
祥馬はニヤニヤしながら聞いてきた。
その言葉と表情にズキンと胸が痛む。
分かってる。
祥馬が俺のことを何とも思ってないことなんて。
俺に彼女が出来ても、別に何も変わらないって。
「椎河さん、いい子だよね」
「うんうん。澪央も言ってた。昔から優しくていい子だって。瑛翔とお似合いなんじゃね?」
「……そうだね」
「…?どうした?」
「いや、、俺先行くね」
「え?あー分かった」
俺は荷物を持って逃げるように教室を出て部室へ向かった。
「はぁ…」
「あ、瑛翔じゃん、早いな。祥馬は?一緒じゃないのか?」
俺に続いて入って来たのは先輩だった。
「こんにちは。はい、先に来ました。すぐ祥馬も来ると思います」
「そうか。そういや最近、祥馬と帰ってないって女子たちが言ってたけど、喧嘩でもしたのか?」
制服を脱ぎながら先輩は軽い口調でそう言う。
「してないですよ。ただ、祥馬に彼女が出来たので帰ってないだけです」
「へぇ、祥馬に彼女か。瑛翔は?彼女」
「俺はいませんよ」
「お前モテるのにな」
着替え終えた先輩は、それだけ言葉を残し部室を出て行った。
「モテたって何の意味もない…」
呟いた言葉は誰もいない部室に響いて消えていった。
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