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「恥ずかしいんだけど…」
「えー!でもすっごく似合ってるよ!」
「ね!カッコいいよ!」
クラスの女子たちがみんな口を揃えて言う。
「ほんとカッコいいな、神代に似合い過ぎ」
「鷹来くんのそれは執事?」
鷹来くんは執事っぽい格好をしている。
「そう。クラスの女子に鷹来くんは絶対執事だって」
「たしかに、似合ってるね」
「ははっ、ありがとう」
サイズの微調整が行われて、そこまで直す所もなく、すぐに終わった。
そして着替えようとした時、どこかに擦ってしまったのか、指先に痛みを感じて見てみると血が滲んでいた。
このまま着替えたら衣装が汚れてしまう。
そう思って一旦更衣室を出た。
「あれ?神代くんどうしたの?」
「ちょっと指切っちゃったみたいで…」
「私絆創膏持ってるよ!…あ、でも一回洗った方がいいかも…」
「うん、ちょっと洗って来るね」
「これ、渡しとくね」
絆創膏を受け取り、俺は教室を出た。
すると廊下で悲鳴に近い歓声が起こった。
何かと思って周りを見渡すとみんなの視線は俺に向いていて、
あぁ、そうだ。
衣装着てたんだった…
「神代くん何ー?それ文化祭で着るのー?」
「めっちゃかっこいいー!」
なんて言葉を掛けられて、笑顔を返しつつ逃げるように早足でトイレへ向かった。
水道で指先の血を流す。
「…よし」
もらった絆創膏を貼り終えて戻ろうと入り口へ体を向けた時、そこに祥馬が居た。
思わず俺はビクッと肩を揺らしてしまう。
「何そんなに驚いてんだよ」
「や、別に…少し、びっくりしただけ…」
この3週間でよく向けられた目。
それが俺は怖かった。
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