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第1章
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いつの間にか、本鈴がなり終わり、
担当の教師が教科書を持って、教室に入ってきていた。
立ち上がり、睨み合う二人を見て驚き、
慌てて制止をかけた。
しかも、片方はクラスの委員長である。
いつも大人しく、規則正しい七瀬相手には、
教師も思わずどもる。
「と、とにかく、落ち着きなさい。
どうしたんだね、一体…。」
教師の言葉を聞いて、ようやく七瀬は
御船の胸元から手を離した。
しかし、依然、視線は鋭く御船を突き刺したままだ。
只倉も、ほかのクラスメイトも、
どうしたものかと、困惑し、ざわついている。
そんな中に、御船の場違いな、
どことなく呑気な声がかかった。
「先生、七瀬は少し熱があるようですので、
保健室で休ませた方がいいと思います。
俺が付き添いますので、連れて行っても、
構いませんかね?」
教師の方に顔を向けて、御船は妖しく笑顔を作る。
教師はどこか、ホッとしたように、
ハンカチで汗を拭きながら、しきりに頷いた。
「あ、…あぁ、
そうだな!今日は何だか妙に暑いから、
七瀬もきっと日頃の疲れが出てしまったんだろう。
そうしなさい。
…御船。七瀬の事を頼んだよ。」
御船は変わらず笑顔で、はい、と頷きながら、
七瀬の手首を強く握った。
七瀬は、激情と羞恥の思いで御船をひと睨みした後、瞼を閉じ、
気を落ち着けてから、教師とクラスメイトに頭を下げた。
そして、御船に誘われるように、
教室を後にした。
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