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第1章
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御船が、ドアから七瀬に近づいてくる。
「おれは……。」
七瀬はゆっくり、視線を上げ、御船を見やる。
「おれは、お前が嫌いだ。」
御船が、笑う。
くつくつと、気配が部屋に響き渡る。
「"大”が、付くんじゃなかったのか?」
七瀬の目の前に来て、立ち止まり、
七瀬の顎をすくう。
「なぁ、七瀬…。
お前は今、矛盾だらけの分裂状態だ。
…どうしてだか、わかるか?」
「おれは、お前が…
嫌いだ。大嫌いだ。
お前は誰彼と構わず行為に及ぶ。そのくせ、
誰とも真剣に“関係"は持たない。」
「……。」
「そういう人間とは、極力関わりたくない。
軽蔑さえする。
だが、お前にとっては…、
そういう、潔癖な、
おれのような固い考え方の人間ですら、
そういう行為の対象だったんだろう?」
御船は、ただじっと、七瀬を見下ろす。
顎にあった指が、するすると、また首の方に落ちてきた。
「だから、お前は、おれに絡んで来るようになった。
…物珍しい、ターゲットを見つけたように、
接触を重ねた。
だから、おれは一度だけ、
お前と行為を持ったんだ。」
御船の触れた箇所に、熱を感じる。
反応せぬよう、気を張りながら、気丈に御船を見上げる。
「そうする事で…、
おれへの興味が、お前から完全に無くなると思ったからだ。
お前は、一度、抱いた相手とは
それ以上の接触を望まず、放り捨てて次へと向かう。」
「その話は前にも聞いた。
…まあ、完全に同意した覚えもないが。」
御船の指が更に下へとすべる。
七瀬のブレザーのボタンに手をかけた。
ボタンが一つ、外れる。
「……どうしてだ。
何故、おれにまだ構う。
どうして、お前は…!」
ーーーまだ、おれの視界から、
消えてくれないんだ。
御船はボタンから再び、七瀬の苦しげな瞳へと、視線を戻す。
ーーーお前は邪魔だ。お前は敵だ。
おれの正しい生活の妨害者だ。
一度は終わったろう。さっさと、おれの前から消えてくれ。
気張った七瀬の瞳に、切羽詰まった色を見て、
御船は愉しそうに笑った。
「…七瀬。
お前の言う通りだ…。
俺はお前にとって、さぞや、許し難い存在なんだよな?
良いさ、それでも。
…………今はな。」
御船の手が、はだけたシャツの間に入り込み、
七瀬の肌の上をなぞった。
その瞬間、七瀬の身体がビクりと震え、
その隙に御船は間髪を入れず、七瀬の首元に噛み付いた。
「……っ!」
よろけた七瀬の身体を支えながら、
御船はベッドの方へ、七瀬の身体を誘い、押し倒す。
七瀬はうるさくなった心臓を抑えながら、
上になった御船を睨む。
御船はそんな七瀬の首元から顔を上げ、舌舐めずりをしながらベッドに体重をかける。
「…さあ、看病してやるよ、お望み通り。
お熱が引かない七瀬くんの身体にな。」
御船の瞳は完全に獣のそれへと変わっていた。
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