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第2章
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「ねえ、聞いた?
御船くん、また女の子の誘い、
断ったんだって。」
「聞いたわ。
ウチの先輩も言ってた。
御船は最近、ノリが悪いって。」
休み時間、ここ最近の女子の噂話の大半は
これである。
御船 徹の近況および、その変化。
女子の中には不満を上げる者も多い。
当の本人は、相変わらず、授業はサボりがちで、
フラフラどこで何をしているかもわからない。
大抵は、屋上で、欠伸をしているという噂である。
「変わった事も、起きるもんだなぁ。」
只倉は、相変わらずバナナオレを飲みながら、
とぼけた顔でつぶやく。
「あのプレイボーイ御船が禁欲生活か?
似合わん、あり得ん、理解出来ん。」
「理解…?」
七瀬はカフェオレを飲みながら、只倉に問い返す。
「だって、女の子の方から誘ってきてるんだぜ?
お前みたいなカチコチの秀才男児じゃあるまいし、
何で健全な男子高校生が、自らそれを跳ね返す必要があるんだよ。まったくもって、理解不能だ。」
「お前みたいな、は余計だよ。」
只倉の買ってきた購買のパンをこれ見よがしに
ひとつ横取り、一口かじろうとした。
只倉は慌てて悲鳴をあげる。
「嫌だなぁ、冗談ですよ!七瀬さん。
ちょっとしたジョーク。
ね、焼きそばパンだけは勘弁して?」
七瀬は黙って、只倉の手にパンを返す。
「…やっぱりあれかねぇ、
ついに御船にも、本命が、出来たのかねぇ。」
ばくん、と心臓が一瞬跳ねる。
ーーーまずい、顔に出すな。
七瀬は、握りつぶさぬよう、
カフェオレを机に置いてさりげなく、
自分のパンをかじる。
「………本命ね。」
「そうそう、御船にもようやく、
必死になる相手が出来たのかもな。
そうなると、大勢の女子が泣きを見ることになるだろうけど。
…そこら辺どうなのよ、七瀬?」
ーーーゲホっ。
飲み込んだパンが喉につかえそうになった。
いかん冷静に、と心に念じながら、七瀬は只倉を見上げた。
「どうって何が…?」
「だから御船の事。」
「…どうして、おれに聞くんだ?」
只倉は強張った顔をする七瀬を、
不思議そうに見つめながら、焼きそばパンを
もしゃつく。
「いや、だって、
七瀬と御船って深い仲なんだろ?
そこら辺の恋愛事情も、七瀬が一番詳しいんじゃないかと思って」
ここが教室でなく、相手が他意のない只倉でなかったら、七瀬は間違いなく掴みかかっていた事だろう。
ーーーとりあえず、
ゆっくり深呼吸をして、ニッコリと笑顔を作る。
「只倉…。
何度も何度も何度も、言うようだけど、
おれは、断固、絶対、まるきり、
ーー御船とは仲良くないから!!!」
笑顔のわりに、黒いオーラを出す七瀬を見て、
只倉は、ゴクリと唾とパンを飲み込んだ。
いつかの、キレた七瀬を思い出し、
触らぬ神に祟りなし、との思いで、只倉はそのままひきつり笑顔で、残りのパンをひとのみした。
ーーゲフッと喉がなった。
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