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第2章
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あの一度の接触で終わりにしておけば
良かったのだ。
事実、これまでは御船だって
一度行為を持った相手に絡む事は無かったのに…。
『…おまえがしかけたことだろ?』
何かが、御船の癪に障ったのかもしれない。
七瀬の頭に、御船の声と、見下ろしてきた時の妖艶な表情が浮かぶ。
同時にあの指の動き、愛撫の強弱、中を抉ってきた熱の感触まで蘇り、また七瀬の身体が火照る。
ーーーダメだ、また別の“用"が出来てしまう…。
手を洗いながら、トイレの鏡を見上げ、七瀬は自分の顔を睨んだ。
ーーーしっかりしろ、智紀。
お前は素知らぬ顔をしていなければならないんだ。
もし間違って、御船に、弱い気持ちを
吐露する事にでもなれば…。
考えるだけで恐ろしい。
七瀬は両頬を叩き、トイレを出た。
廊下を歩き、教室に戻ろうとしていた途中、
不意に後ろから声がかかった。
「七瀬くん?
君、七瀬くんだよね?」
振り返るとそこには、制服を着崩した赤髪の男が、
七瀬を物珍しそうに見ていた。
「そうですけど…、あなたは?」
男は、ああやっぱりと両手をたたいた。
「ああ、ごめんごめん、いきなり。
俺、2組の長倉 大輝(ながくら だいき)。
てゆーか、ダメだから敬語いらない
俺ね、よくトオルと一緒にいる奴なんだけど…。」
トオル…。
ああ、と七瀬もひとりごちる。
この男、確かに、休み時間御船と何度か一緒に居る所を見た事がある。
御船の友達だ。
「御船の…。」
「そうそう、御船。
あんたが七瀬 智紀くんか!
いや、御船から話聞いててさ、
丁度ばったり会ったから
ちょっと話してみたくなっちゃって。」
そう言って長倉はてへ、と舌を出しウィンクする。
なるほど、友達だけあって、どことなく浮ついた感じは御船に似てる。
…いや、今はそこじゃない。
ーーーおれの話を聞いてて…?
「御船が…、おれの話…?」
「うん、最近はもっぱらあんたの事ばっか。」
ーーーあの野郎。
一体、何の話をしてるんだ…。
聞きたくもあったが、怖くもあったので、
長倉に不満げな視線をおくる。
長倉は構わず続ける。
「最近じゃ、授業にも出るようになっちゃって、
サボり仲間が消えて退屈してたんだけど…、
アイツ、どう?」
「どうって何が?」
「うまいことやってる?」
…うまいこと?
「勉強の方なら…、最近は活躍しているみたいだけど。」
…ムカつく事にな。
七瀬は心の中で毒づく。
長倉は赤い頭を振った。
「違う違う、そんなのただのパフォーマンスだから!つかそっちじゃなくて!
イロコイの方!れ・ん・あ・い・事情!
…どんな?」
七瀬は少し唖然とする。頭をぶん殴られたような衝撃を受ける。
ーーー恋愛…?御船が……?
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