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第3章
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ーーーなんで、またこんな事になっているのだろう。
七瀬は悩む。
数時間前。
放課後、七瀬は帰ろうと靴箱で靴を履いていた時、
「ひどいわっ!!七ちゃん!!」
と、いきなり罵声を浴びせられた。
声の主は只倉である。
七瀬はしばらく呆然として、何かの芝居かと思案しながら、何が?と尋ねた。
只倉は泣き真似をして続ける。
「あたし聞いたのよ!全部!!
……御船くんから!!!」
身体の芯がしびれた。
御船に、という言葉に心拍数を上げながら、
努めて冷静な声で、何を?と尋ねる。
「あたし…っ、あたし!
こんなひどい裏切りないと思うわ!!」
只倉の目がキッ、と七瀬を睨む。
七瀬は思わず半歩、退がった。
ーーーまさか…。
「七ちゃん、あなた…。
放課後、御船くんと図書館でお勉強しているそうね!!!」
がくっと、身体から力が抜けた。
ーーーそっちか…。
七瀬は一瞬でも怯んだ自分を恥じて背筋を伸ばす。
ーーーおどかせるな、馬鹿ヤロウ。
「…それが?」
「ま、まあ!それが?ですって!?
言うに事欠いてあなた!!」
ーーーだから、何なんださっきからこのキャラは。
七瀬も負けじと只倉を睨む。
「あたしに散々仲良くないだのなんだの言っといて、あたしという親友を放ったらかして、
御船くんと図書館デートしてたなんて…!!」
激しいめんどくささを感じながら、七瀬は宥めるように只倉に声をかける。
「…いや、あれは、御船が無理矢理ついて来ただけで
おれは別に…。」
「そうだよなあ、ひでえよな、只倉。」
不敵な声が、七瀬の肩に、力強い腕と一緒に絡まる。
七瀬の身体が思わず、ビクっと跳ねた。
「お前に内緒でなんて、
友達甲斐にかける薄情なヤツだ。…なあ、七瀬」
ーーーなあ、じゃねえ。
至近距離に振り返る事も出来ず、七瀬は舌を打つ。代わりに鳩尾めがけて肘を突いてやったが、御船はピクリともしなかった。
…サイボーグ人間かよ。
その仕返しなのか、この人前だと言うのに
御船の手が七瀬の腰をやんわり撫でて来る。
今度こそ、我慢出来ず、至近距離覚悟で振り返った。
「ふざけるな!
お前が強引について来ただけだ。おれの意思じゃねえ。」
「…だってよ、只倉。」
只倉は、七瀬の腰をなぞる御船の手にも気付かず、なんの真似か頰を膨らます。
「…こうなったら、俺ももう構わん。
この際、ハッキリ言いたい事を言わせてもらう!!」
いつの間にか口調が戻り、只倉は一歩七瀬の方に身を乗り出した。眉間にシワがより、今にも飛びかからんばかりに威嚇のオーラを出している。
七瀬は若干引きつりながら、只倉の言葉を待つ。
「七瀬…、おれに…、
おれにも…、
勉強を教えてください!!!」
そしてそのまま只倉は、勢いよく頭を下げた。
そして、現在。
七瀬と御船と只倉は図書館にいる。
お前は帰れ、と再三言ったが、何故か御船も只倉と肩を並べて図書館への道をついて来た。
いつもの、七瀬の特等席は、もはや静かな憩いの場ではなくなっている。
また向かいの席に座る御船を、やつれた目で睨む。
「…お前本当に今すぐ速攻で、帰ってくれ。」
「そう言うな。一緒に肩を並べて勉強した仲だろ?」
御船は七瀬を労わるように首を傾げて、甘く微笑む。
「…お前が居るとフラストレーションが溜まって
勉強にならない。」
「俺に見惚れて勉強出来ないのは、気の毒だが、
それはお前の問題だ。俺のせいにしちゃいけないね、委員長。」
ーーーダメだ…。
相変わらず、話が通じない。
頭痛を抑え、目をそらす。
この頭の痛くなるやり取りの間、
只倉は何をしていたかというと…
「おねーさん、今度俺とお茶行かない?」
通りがかった図書館の女性司書を片っ端から、口説いていた。
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