アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第4章
-
御船は目を見開き、驚いた顔で七瀬を凝視している。
まるで、急に頭をはたかれたようにポカンと固まり、七瀬を腕に閉じ込めたまま、硬直している。
そんな御船の様子に、
七瀬は更に笑い、姿勢をただした。
まっすぐに御船を見据え、真剣な顔つきになる。
「…ところで、御船。
お前、どうしておれの部屋の番号が分かったんだ?」
「……え?」
御船はハッと我に帰り、目の焦点をわずかにゆらした。
「あの図書館の帰りに、
お前が着いてきたのは、このマンションの下までであって、部屋までは分からなかったはずだ。
それがどうして何の迷いもなく、ここに来れた?」
攻守交代、といった勢いで、七瀬は御船に詰め寄る。御船は急にバツの悪くなったように目を逸らした。
「…別に。良いだろ、そんな事。」
「良くない。個人情報だ。
ちゃんと答えろ。」
「……。」
御船は身体を離し、頭を掻きながら拗ねたようにプイと顔を背ける。
ーーー少しだけ…、かわいいと思ったりして…。
七瀬はまたこみ上げてきた笑いを必死にこらえ、答えを待つ。
「…スマホ。」
「スマホ?」
「…お前のスマホに俺のアドレスを入れた時、
お前の住所も書いてあったから、こっそり見ておいた。」
今度は七瀬が、あんぐり口を開けて固まった。
ーーーコイツ…!
「お前あの時、おれの個人情報見たワケじゃないって言ってたじゃねえかよ!!」
「…あの時はな。
まあ…、そのことに関しては、悪かったよ。」
御船の胸ぐらを掴み取り、未だ顔を背ける御船をじっと睨む。
御船は眉を寄せ、難しい顔をしてなんとか時間をやり過ごそうとする。
…だめだ、もう我慢出来ない。
「…プッ」
「…?」
「プハッ…ははははっ!」
七瀬はたまらず手を離し、お腹を抱えて笑いだした。笑いすぎてさっきまでとはまた別の涙が滲む。
予想外の反応だったのか、御船は更に驚いた顔をして、七瀬の様子を窺った。
「七瀬…?」
「はははっ、お前でも…!
そんな顔するんだな。」
「……。」
ハー、と息を吐き出し、やれやれといった風に首を振る。
「もう、良いよ。
お陰で助かったのも事実だし。
ただ、もう二度と
勝手におれの携帯見たりするなよ。」
涙をぬぐい、呆けた顔の御船に笑いかける。
御船はしばらく、ジィっと七瀬の顔を見て、
…ああ、と小さく呟いた。
御船は、視線は逸らさず、ゆっくり僅かに身体をベッドに乗り出した。
「…にしても、随分、遅くなったな…。
もう10時か。御船、お前ーーー…。」
言いかけた所で、御船がガバッと覆い被さり、
七瀬は、ベッドに押し倒される。
何事かと、
慌てて抵抗しようとするが、両手を封じられ、身動きが取れなくなる。
「…なっ、何だ、御船!いきなりどうし…」
「七瀬。」
低く掠れた声が七瀬の抵抗を止める。
見上げれば、真剣な瞳が七瀬を刺した。
七瀬は唾を飲み込み、身体を強張らせる。
あまりに真に迫った表情に、胸が高鳴った。
ーーーな、なんだ?さっきの今で…。
いわゆる、馬乗りって状態のまま、
訳も分からず、七瀬も、
見下ろす御船を見返し、反応を待った。
御船の声が、不意に降ってくる。
「俺は……、
お前が好きだ。」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
42 / 164