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第8章 side 八代
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誰もいない静かな家で、八代は一人、溜息をついた。スクールバッグを机に置き、ネクタイを外す。
いや、正確には一人では無い。
“下の方”では今も五人の男達が一人の男を嬲り続けているはずだ。
しかし、叫び声も暴れる音も、
上には伝わって来ない。
ーーーああ、愉快だ。
誰にも知られず、誰からも隔離されたこの場所で、あの男を好きなだけ嬲りものに出来ると思えば、今も苦しみ続けているのだと思えば、
それだけで心が湧く。
ずっとずっとこうしてやりたかった。
あの男を閉じ込め、狂わせ、地の底へと突き落としてやりたかった。
あの噂を聞いた瞬間から。
今、それが現実に叶いつつある。
しかし、なぜか、
八代の心は完全には晴れ切らなかった。
薬を大量に飲ませ、身体中に痣を作り、
昨日の時点でもう七瀬は見るも無残な姿だった。
ローターやバイブがあちこちに当てられ、巻きつけられ、
熱で身体は始終痙攣して、血と汗が至る所に浮かび上がり天井を仰ぐ目は焦点が合っていなかった。
ーーーそれなのに…。
『やあ、七瀬くん、ただいま。
あられもない姿だねえ、大丈夫?』
昨日、学校から帰った時、
嘲りを込めた声で、八代が七瀬を見下ろすと、
七瀬は虚ながらも、皮肉に笑った。
声が出ないのか、話す気がないのか、
何も言わないまま、ただ、挑発するような顔で、
七瀬は嗤ったのだ。
『てめぇ!八代様にちゃんと返事をしねえか!!』
男の一人がもう痣だらけの七瀬の腹に蹴りを入れる。七瀬は堪らず喘いだが、それでも返事をしなかった。
普通の人間ならとっくに発狂しててもおかしくないのに…。
ーーー不愉快だ。
往生際が悪い。
この期に及んでどこにそんな強気があるのか。
まったく忌々しい。
八代は地下へ通じる扉を開け、下に伸びる階段を降りていった。
あたりは暗く、もう夏なのにしんしんと冷えている。
重い鉄の扉の前に来ると、鍵を差し、
ドアノブを回した。
「…っああぁ!」
途端、切ない悲鳴が聞こえてくる。
七瀬に群がっていた五人のうち一人が、八代に気付き、立ち上がって頭を下げた。
「お帰りなさいませ!八代様!」
「ああ、ただいま。どうだい?調子は。」
「はい…、それが、どうにもこの野郎、
強情で…。」
男が眉を寄せる。八代がやれやれと首を振った。
「まだイカないの?」
「はあ、どうも…、すいません!」
男がまた頭を下げる。
今日はため息がよく出る日だ。
「困った子だねぇ、七瀬くん。」
八代はゆっくり、横たわり嬲られ続ける七瀬に近づき、その顔を見下ろした。
ヴヴヴ、という機械音が耐えず響く。
ところどころ、痣ができ、口から血が滲んでいたが、やはり整った顔は依然、強い意志を宿していた。
七瀬も八代に視線を合わす。
ーーー気に入らない。
気に入らない、その強い瞳も、なにもかも。
グッと苛立ちを抑え、
優しい声で語りかける。
「どうして君はそうも強情なんだろうねえ。
可愛げがないったらありゃしないよ。」
「…ん、あ、ぁ、…っ」
続けられる激しい愛撫と、出し入れされるバイブに眉をひそめ、
それでも声を出すまいと唇を噛んでいる。
ーーー小賢しい。
いつまでも自我を保ったままで居られると思うな。
「もう二日目だってのにねえ。
君、案外不感症なんじゃないの?それでよく、
御船くんが相手をしてくれていたものだ。」
しゃがみこみ、七瀬の顔をまじまじと見つめる。
取り繕った顔をしているが、八代は見逃さなかった。
御船、という一言で見せた七瀬の一瞬の動揺を。
これだ、と、八代は口角を上げる。
「学校の裏庭でね、今日、
御船くんを見たよ。どうやら、君を心配して居たようだ。」
「ぁ、あっ!」
お、と男の一人が声を上げる。
「今スゲエ締まったぜ!ははっ、何だこいつ、
御船の名前に反応しやがったのか!」
面白くなったのか、男のバイブを握る手が強くなり、挿入する速度を速めた。
グチュグチュと卑猥な音が響く。
七瀬は大きく喘ぎ、身体をくねらせた。
手足の鎖が鳴る。
「…ぁっ、あああっ!あ、ぅあ、」
「お友達と一緒にね。険しい顔をして居たようだけど、…どうだろうね?
今の君の姿を見たら。」
「ぁあああっ!」
「きっと幻滅して呆れるんじゃない?
こんな玩具に弄ばれてヨガっちゃってさ。」
八代が胸ポケットから煙草を取り出す。
男の一人がライターを取り出して、引き抜かれた紙巻煙草の先に火をつけた。
七瀬の目に恐怖が宿る。
八代は愉快になって笑いながら、
トントンと七瀬の身体の上に灰を落としてゆく。
「…っあ、ぁ、ぃ、」
「きっともう見向きもされないだろうね。
同じクラスに居たって口も聞いてくれないよ、きっと。」
そして、御船が以前、七瀬の首元につけたキスマークの上に熱い煙草を押し付けた。
ジュと焼ける音が聞こえる。
「…っあああああ!」
七瀬は痛みと熱さに目を見開き、身体を暴れさせた。しかし、男達がそれを抑え込む。
八代はなおも、高らかに笑った。
「あははは!いい痕になったじゃない、
安心しなよ。たとえ御船くんに忘れられても、
君が寂しくならないようぼくが一つずつ、
痕を消してあげる。」
そして、一つ、また一つと煙草を押し付けていった。
七瀬の悲鳴がこだまする。
八代はバイブを握って居た男に、貸して、と手を出す。
男はうやうやしく位置を譲った。
「ほら、七瀬くん。
聞こえるかい?こんなに先走りが流れてるよ。
いやらしいねえ、こんなに出しちゃったら御船くんも愛想つかしちゃうね、きっと?」
八代は男に代わり、グチュグチュとバイブを七瀬の後孔から出し入れしながら、なおも煙草を押し付けてゆく。
快感と痛みに七瀬の身体が限界までしなる。
もうやめてくれ、というように、七瀬は涙を流し、八代を見つめた。
しかし、それに伴い、八代はバイブの速度を速めた。震える棒が何度も七瀬の中をかき分け、
しこりを殴る。
七瀬は呼吸を止め、痙攣を繰り返した。
足の指が反り返る。
「あああ、っああ、ひ、ぁっい、や、ああっ!」
…さて、
トドメだ、というように、煙草を一層強く押し付け、同時にバイブを奥に叩きつける。
そして、ゾッとするような低い声で七瀬の耳元に囁いた。
「せいぜい助けを求めな、愛しの御船くんに。
彼はもう絶対、君を助けになんか来ないけど。」
愛しの…、
そう囁いた瞬間、七瀬の中で何かが弾けた。
そして、今まで溜まりに溜めた欲を、
切ない悲鳴と一緒に勢いよく、吐き出した。
男達がおぉ、とどよめく。
八代は満足げに笑った。
七瀬は快感と、絶望の涙を流す。
血の気が引き、は、は、と呼吸が浅くなっていた。
八代は手についた七瀬の白濁を、青い顔をする七瀬の額にこすりつけた。
「あ〜あ、もう汚れちゃったじゃない。
汚ったないなあ、本当に君は。」
そして、煙草を放り捨て、ハンカチで手を拭きながら立ち上がった。
男達が代わりにまた、いたぶりを開始する。
七瀬は強引な余韻に浸る間も無く、また喘ぎ声を上げ始めた。
一度、堰を切ってしまった身体はもう抑制がきかない。
何度も何度も、悲鳴に近い喘ぎ声が響き渡る。
八代の心は今、この部屋の中とは正反対に晴れ渡った。
「じゃあね、肉便器さん。」
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