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第12章
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カプリと御船がまた七瀬の首元に噛みつき、
愛撫するように点々と、キスマークを落として行く。
強引なくせに、甘さを含んだその行為に、
七瀬は震え声で精一杯、御船の髪を掴んだ。
「ば、バカお前、もう、いい加減にしろ!
一体、いつまで…っ、」
「委員長さまが観念するまで。」
ーーーか、観念って何だ、観念て!
「観念して、思い知るまでだ。」
「…え?」
「そんな顔して良い相手が誰なのか。」
御船の手がベッドの間に入り込み、七瀬の背中を抱き寄せる。少しだけ身体が浮いて、心地よい浮遊感が七瀬の身体を満たす。
「ん…、ぁ…、」
「それともお優しい七瀬くんは菱本の方が良いのかな?」
「や…っ!違う、違う…!」
「委員長同士、通じ合うところもあるものな?」
「いや、だ…、御船…、」
フゥと耳元に息が吹きかけられる。
七瀬はピクリと身体を震わせ、涙を流した。
「いやだ、いやだ…!御船…っ、たのむから…、」
「たのむから?」
「ぁ…、あっ、もう、」
冷ややかな言葉とは裏腹に、御船の七瀬に触れてくる指や唇は溶けてしまいそうなほど甘い。
その落差が余計、七瀬の胸を締め付けた。
挑発だ、と分かっていても、熱いものが喉までせり上がって来る。
「…そんな、こと、言うな。」
「そんなこと?」
ーーー分かってるくせに…。
さっきは途中で遮られたけど、御船だってそんな鈍感じゃないはずだ。もう充分分かってるくせに。
「お、まえじゃなきゃ、嫌だ…」
口づけの雨に痺れた頭をゆっくり御船に向けて、視線を合わせる。
恥ずかしさと快感とでなんだか視界が滲んでる。
御船はその中でピタリと動きを止め、七瀬を見つめ返した。
「…もう一度言え。」
「…え?」
「俺じゃなきゃ…何だって?」
そして今度は七瀬の耳を軽く噛む。
七瀬は顔だけでなく、全身真っ赤になりながら、
小さく言葉を紡いだ。
「…だから、…っ、お前じゃなきゃ、嫌だ。」
「“おれも、お前のことが”?」
「…っ!」
弾かれたように七瀬の目が見開かれた。
御船は依然、表情を変えず七瀬に迫る。
「俺のことが何だって?」
「…ぅ、」
「さっき言いかけた事、言ってみろ。」
七瀬、と、また熱い息が耳にかかる。
あんまりに熱を発しているせいで、視界がぐらりと揺れる。
ーーーちくしょう…。
言いかけた事を言うってかなり勇気がいるんだよ!
しかも七瀬にとって、
生まれて初めての告白なのだ。
こんな至近距離で、覆いかぶさって来る相手に、
それを言うのはかなり難易度が高い。
ーーーそれなのに…、
「…七瀬。」
御船の声はもう冷ややかではなかった。
今はむしろ熱っぽく、誘惑するように甘く掠れて、七瀬を溶かす。名前が呼ばれる度に、七瀬の身体に痺れるような電流が走り、じわじわ疼きが広がって来た。
まるで声そのものが媚薬のようだった。
あやすように、御船の片手が七瀬の髪を撫でた。
「なあ、七瀬。」
「…ん、」
「…いい子だから。」
また首筋が吸われる。
淫らな音と同時に七瀬の思考もぼやけて行き、
誘われるように湿った唇を開いた。
「…お、おれ、は…。」
「うん?」
「おれ…。」
ーーーああ、心地いい。
手も、声も、眼差しも、
全て心地いい。
「御船…。」
「…ん、」
最後の後押し、というように、
御船の唇が軽く七瀬の唇に重なった時、
七瀬の限界も超えた。
ゆっくり顔を上げる御船をうつらうつら、見ながら言葉を紡ぐ。
「…御船の、…ことが…。」
視界に映る御船の顔が滲んだ。
そこで、フッと、残っていた七瀬の力が完全に抜けて、
ベッドと御船に全体重を投げ出した。
「おい、七瀬?」
御船は突然気を失った七瀬に狼狽し、
一瞬血の気を引いたが、それも続いて聞こえて来た穏やかな寝息を聞いて固まり、
ガックリと肩の力を落とす。
寝たのか…。
まあ、無理もない事、ではある。
ようやく目覚めたばかりで、ああも色んな人間が訪れてきてはさぞかし七瀬としても消耗しただろう。気が回らなかった御船が悪い。
しかし、
「…また寸止めか。」
とんだ、据え膳だ。
御船は小さく上下する胸に自身の額を押し付ける。
致し方ないとは言え、今は七瀬の平和な寝顔がなんとも憎らしい。
すーすー、と穏やかに寝息を立てる七瀬の胸に顔を押し当てながら、御船はしばらくの間、
ジッと湧き上がる欲や疼きと必死に闘い、
こみあげる熱を気が遠くなりそうな思いで抑え込だ。
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