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片思いを合わせて…
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御船がやや慌てて離れようとする。
しかし、反応が遅れたせいで、七瀬の力の方が、
今は強い。
抵抗する身体を必死に押さえつける。
そして、口内で御船の舌を掴みとり、
強く噛みついた。
同時に御船の身体が抵抗をやめ、ピクリと揺れる。
長く濃厚なキスの後、
ようやく七瀬が口を離した時にはお互い息が乱れていた。
そして、七瀬の口には御船の舌から出た血が滲んでいる。
「…七瀬。」
「ふざけるな、」
「……、」
「ふざけるなよ、お前…、どういうつもりだ。」
七瀬は御船に上に、
両手で御船を囲うように覆いかぶさったままだ。
その頭を、御船の厚い胸に押し付ける。
「今更、おれを離すのか…?」
「…七瀬、」
「おれをここまで本気にさせといて…。」
「……七瀬、」
「本当は、逃げたいのは、
…お前の方だろ!?」
その瞬間、御船が七瀬ごとガバリと起き上がる。
今度は七瀬の方が不意を突かれて、反応が遅れた。
御船の両手が、痛いくらいにぎゅっと、
七瀬の手首を掴む。
そして、ようやく、視線が合った、
御船のその瞳はひどく黒く、鋭く光っていた。
まるで、獣のように。
思わず七瀬の声が上擦る。
「な、なんっ…」
「俺の言ったこと、聞いてたか?
七瀬、
俺はずっとお前を追い込んで来たんだよ、
他人をいいように使ってお前の気を引こうとしてきた。
柄でもない勉強なんかしてみたのも、
順位を狙いに言ったのも、全部ただお前の目に俺を写したかっただけだ。
お前は自分を最低だとか言ったけど、
それを言うなら俺はクズ以下だ。
俺は不純で、真っ直ぐすぎるくらい綺麗なお前とはなにもかも違う。
汚かろうが、歪んでいようが、
じっくり、じっくり、追い詰めて、
心も身体も、
捕まえたと思ったその時には…、」
御船のあつい息が不意に耳朶にかかった。
「きっと、お前を一生、抱き殺す。」
七瀬の心臓が大きくはねる。
御船はまだ、黒い瞳を一寸も逸らさない。
バクバク、と、馬鹿でかい心音と、
御船の声だけが、部屋に満ちる。
「どこへも逃がさない、だれにも触れさせない、
離れようとするもんなら、一生縛りつけて俺に繫ぎ止める。
俺以外、目に入らない所に閉じ込める。
今回の一件でわかった。
あんな気が狂うような思いをするくらいなら、
次はいっそ俺の方が、お前を監禁してしまう。
俺は本気で、それぐらいのことが出来る。」
掴まれた手首が痛い。
視界が、滲んで来た。
「…七瀬、言ってる意味がわかるか?
これが…。」
「…っ、」
「最後のチャンスだ。」
「…っう、」
「本当にすまない、お前の言う通り、俺は卑怯な奴だよ。だけど…、だからこそ、」
お前を想うからこそ、言うんだ。
御船の目がスッと細まる。
そして、七瀬の耳を犯すように掠れた声でそっと囁いた。
「選んでくれ…、七瀬。」
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