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口内炎
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無意識に口元が変な形に歪む。
それを横目で見るたびにクスッと笑う紬さん。
綺麗だ。
『薬塗ったの?』
「いえ、まだそんなに酷くないので。」
『そうやって放っとくから酷くなるんでしょ。』
そりゃあそうだ。
先程から無意識に痛いと主張してしまっているのだから、誤魔化されてくれるわけがない。
「苦手なんです。口の中に塗るのって。」
正直に言ったよ。
見逃してください。
『直。』
「んっ………」
紬さんへ顔を向けようとした瞬間。
顎を支えられて、口づけられる。
ちゅ……くちゅ………
そのまま舌が挿し込まれ、口の中を探るように動き回る。
「ん………はぁ……っ」
ビクッ
反射的に体が跳ね、頭が逃げようとする。
いつの間にか手のひらがしっかりと回されていた。
痛い。
重なった唇から、紬さんの口の端が上がるのを感じた。
痛い。
生理的な涙が溢れる。
わざとだ。
わざと口内炎の上にばかり舌を押しつけてくる。
「やぁっ…………ん……はっぁ…………や……」
お願い。
もう………。
ぼろぼろと溢れる涙。
しょっぱい。
「うっ………」
どどめとばかりに口内炎を噛んで、紬さんは離れていった。
「はぁ……はぁ……ん…」
じくじくと治まらない痛みと荒々しいキスのせいで呆然と呼吸するので精一杯だ。
『直。』
俯く。
だって、ひどい。
痛かった。
背中を向けて座り直す。
『ごめんね。もうしないから。
こっち向いて?』
嫌だ。
『直?』
細い指で髪を梳かれて。
『ごめんね。もうしないから。』
美しい手首が目の前を横切る。
と同時に、指先が頬から耳、首筋へとかかる。
『こっち向いて?』
そう囁いて。
緩く力をかけられれば、従うしかない。
もう。
こんな泣き顔見られたくなかったのに。
『キスするたびにそんな辛い顔されるの悲しいから、早く治してくれる?』
「んぅ………。」
情けない声が出てしまいそうで。
だから代わりに。
これ以上ないくらいに頷いた。
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