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「白い‥‥」
結多は驚きをそのまま口にしていた。遠くからでも分かる。
髪も、肌も普通の人間にはあり得ないほどに白い。白粉から作られたような髪と皮膚は丁度出てきた月光によって鈍く輝いていた。
「あのー…、風邪ひきますよー」
電柱に寄りかかるように眠るその人に近づく。
体格を見る限り、男性のようだ。
しかし、閉じられた目蓋から延びる長いまつ毛、薄い唇、高い鼻…
近づくたび、その人の病的な白さ、そして性別さえもあいまいにしてしまう美しさに思わずため息が漏れた。
しかし、
「起きてくださーい」
いくら揺すろうが声を掛けようが起きる気配が無い。
酔ってるだけかと思われたが、頬の赤みやアルコールの臭いがしない。
おまけに、シャツとジーパンと靴以外何も身に着けていない。持ち物も見られない。
彼女に家を出されたか?どんな理由にせよ、これでは、彼の身元が分からないじゃあないか。
とりあえず、警察呼んだ方がいいかと考えるが、いざこざに巻き込まれるのはごめんだ。
すぅー、すぅー
「…」
少しだけ、と結多はそっと、彼の長い髪に触れた。
まるでいつか触れたメンフクロウの羽根のようにしっとりとしていて、離そうとすると蛇のように数本纏わりつく。
優しい、なのに何故か気色悪さを感じ、背筋がぞわぞわとする。
2分ほど、その銀色で柔らかい髪を存分に堪能していた。
「触って楽しいか?」
気が付くと、深海がこちらを覗いていた。
あっという間に正気に戻り、手を離した。
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