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連続殺人犯
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『御免下さいませ。私、昨日電話した者です。此処の近くに用事があったので、予約はしていないのですがまた相談に乗ってもらってもよろしいですか。ええ、私、どちらかと言えばこの方が落ち着きますので、お言葉に甘えてここで話させていただきますね。…実は、あの日の晩、また結局同じ夢を見ました。はい、そうです、あの部屋の夢です。気が付けば同じ場所に…は、一から話してくれと。ええ、大丈夫です。今日はもうすべて回り終えたのでで。
私は気が付くとまた、あの部屋にいました。この前もお話しした通りです。新築マンションのような、白い壁とフローリングのリビングルームでしたわ。家具もお洒落で、テレビのわきには観葉植物が置いてあったのも変わっていなかった。ところどころ、近代的なアンティークの置物が置いてあったりもしました。清潔で、精錬されて。正直、自分がお金を貯めたらこういった場所に住んでみたいところです。ああ、話が逸れてしまいました。確かに憧れるような部屋です。でも、やっぱり、少し経つとだんだん不気味な気分になってきてしまったのです。特に恐怖の要素が一つもない場所で怖くなるって、おかしいでしょう。けれど、すぐにその原因が分かりました。私が後ろを向くとそこには、顔が見えない黒い服を着た男が立っていたんです。手には…持っていなかったと思います。その瞬間、頭に鈍い音と痛みが走って、目を閉じたのです。数秒して、目を開けると、そこには…先ほどの白い部屋は無く…目から血が出たのかと思うくらいに赤くなった部屋……あと、物が散乱して、強盗に入られたみたいになって……。
何よりも、目の前に、…自分がいました。
頭や肢体から血を流して目を見開いて倒れてる裸の私が。
そこで思わず叫び、飛び起きた、という感じです。ええ、前回、前々回と同じでしょう。
え、変わったことは無かったかって?
特に無かったと思いますが…、ただ、赤くなった時には…あ、いえいえ、大丈夫です。こう見えて案外血なまぐさいものとか得意なんですよ。はい、それでですね…自分が殺された後の部屋で少し置物の形とかの形が少し違う気がしました。例えば部屋の隅にあった女の人の形をした箱が開いていたりとか。ただ、本当にそれくらいですね。
話を聞いていただきありがとうございます。電話で伝えたかったのですが、どうしても誰かに直接聞いてもらわないと気持ち悪くて…。
ああ、もうそろそろ行かないといけません。いえいえ、とんでもない。予約しないで押しかけてしまいすみません。貴重なお時間をいただきありがとうございました。』
「こちらこそ、まだ暗いですから、お気を付けて」
____________録音記録『4/15 16:24 就活生S.Y』
じゃきり。
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