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4/24 14:48
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いつもなら学科の友人と空き教室でゲームや話をしながらお菓子を食べて過ごしてる時間だ。
「ここか」
目の前には築20年は経過しているだろう、3階建ての小さな雑居ビル。駅前の大通りのカラオケ屋がちょうど目の前にある。
1階には手作りの雑貨屋が入っている。
ビルの案内には3階のところに
『カウンセリングルーム みずにわ』
と書かれていた。
時計を見る。
あと10分程で約束の3時だ。
何か手土産でもと思い、途中のケーキ屋で買ったシュークリームの箱を手にぶら下げている。
エレベーターはないので、ゆっくりと枯葉や埃の舞った階段を昇る。
マンションのような扉の前に立つ。
扉には案内と同じ名前がお洒落な表札に書かれていた。
「…」
午前中からずっと、ここに来ようかずっと迷っていた。
もしかしたら、夢で起こった出来事はすべて幻想で、夢で彼に会ったことや名刺のことはたまたま偶然だったのかもしれない。
でも逆に本当なら、彼も自分と同じように夢に入り込めるのか、この変な夢を見る人間が他にもいるのだろうか。
ていうか、そもそも1日だけしか会ってない人の言うことを信じていいのか。
そんな不安と好奇心を皿に乗せた天秤が心に不穏な波を立たせている。
正直、知ること自体が怖い。
「けど…」
『このおかしな夢について、教えてあげられるかもね。』
(自分を苦しめる悪夢について、何か分かるのなら…)
もし、怪しければ逃げてしまえばいい。
意を決してインターホンを押した。
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