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4/24 15:06
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ギイ、と蝶番から年季の入った音が鳴る。
ただいまーと言ってカイムが入っていくので、その後に続いた。
「お邪魔します…」
「お茶用意するからそこ座ってて」とカイムにソファーへ案内された。
当たりを見渡した。
ビルの外から見ると少し古ぼけたイメージだが、壁や照明は現代風にリフォームされていた。
部屋の中は、整然としていて、中央にカウンセリング用のソファーとテーブルが用意され,
後方には、キングジムのファイルや分厚い本が入った本棚と、書類が数冊置かれたデスクが設置されている。
結多は本棚の本のタイトルを一つ一つ丁寧に見ていった。
「随分と興味津々だねぇ」
クスクス笑いながらカイムがお盆にお茶を乗せてやって来る。
「ご、ごめんなさい、俺」
「いやぁ、あまりに目が真剣だったから。心理学に興味あるのか?」
「…はい」
本棚には人間の心理や精神についての本が並んでいた。
大学で心理学を専攻している結多にとって、目の惹かれるものばかりだった。
「へえ、紫苑大の学生さんか…認定心理士目指してるの?」
「はい、そう、なりますね」
「フーン…」
「…」
「どうやら、他にも理由がありそうだね」
カイムがゆっくりと反対側のソファーに腰かけ、にっこり微笑む。
その目はどこか確信を捉えていた。
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