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「…」
30秒ほど沈黙が続いた後、意を決して口を開いた。
「あの!!一応確認なんですけど…」
「何かな」
単語を必死に文章にしながら恐る恐る彼の眼を見た。
「ここに来る約束って、昨日の午前中にしましたっけ…?」
目の前の彼がぱちくりと目を瞬いた。
その瞬間、全身の血の気が引くのと、一気に大量の冷や汗が噴き出すのを同時に感じた。
(あ゛ああああああ、やっちまった、やっちまったよ~~~~~~!!!何やってんだ俺~~~~~!!!大体、全く別のこと聞かれてんのに質問で返しやがって~~~~~~こんな変な質問、相手を困らせるだけだって!!!)
何か続けなければと考えようにも、羞恥と落ち込みが頭の中でぐるぐると渦巻く。
「どうしてそう思った?」
カイムはというと先ほどから笑みを崩さず、結多をじーっと見つめている。群青はどこか冷静に、されど好奇心に染まっていた。
まるで、依頼人の話に食いついたホームズみたいだ。
「え、えっと」
「ゆっくりでいいよ、正直に話して」
不思議と、その一言は心の波をぴたりと止めるようだった。
同時に、何故かこの人には話してもいいかもしれないという思いが脳裏に浮かんだ。
「はい…。」
気が付けば、結多は今まで誰にも言えなかった自分の秘密をすらすらと話していた。
昔から夢で男に追いかけられること、
夢には無数の扉が出てきて、出入りが自由であること、
扉は他人の夢に繫がっていて、入ると男は追ってこないこと、
前は家族の夢に入れたが、一人暮らしになってからは他人の夢に入り込むのが怖いこと、
でも、入れないと追いかけられるので、寝不足であること、
そして、昨日、夢の中で昼間の人と出会い、ここに来るように言われたこと…。
「多分、これで全部です」
「…」
「…実のところ、俺が心理士目指してるのもこの夢をどうにかしたいのが本音です」
そう言って俯いた。
あれから何分話しただろうか。
恐らく、悩んでいること、主に夢関連の話は全て話してしまった。
(ああ、すごい、不思議なくらい気持ちが軽い…)
今まで、自分の夢について十分に語ったことのなかったからか、今までにないほどの爽快感を味わっていた。
全て聞き終えると、カイムは「そうか」と一呼吸して、茶を啜った。
「それじゃあ、今度は俺の話を聞いてくれるかい」
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