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チーズの味わい
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チーズは文句なしに美味くドラマも面白いのだが、強い眠気に抗えなかった白田は、ロイと並んで座っているソファーで自覚のない間に眠りに落ちていた。
「ノボル、ノボル。」
ロイが声をかけて肩を揺するが起きる気配はない。できればベッドでの共寝がいいが、そこへ運ぶには少しは白田自身の力で歩いてもらう必要がある。
「ノボル!おきて!」
よほど疲れているのか、耳元で呼びかけても反応はない。諦めてソファーへ横にならせ、眼鏡を外してチーズや飲み物の載ったテーブルへ置いた。そうするとロイ好みの童顔が露わになり、頬に手を滑らせれば閉ざされた薄いまぶたが少し震えた。
「やっぱりかわいい。」
ホテルでは行方をくらまされ、先日は約束をふいにされたりと随分と気を揉んできたが、今夜はちゃんと会うことができた。だからなのか、ロイはなおさら帰したくない気持ちが強い。本当は意識のある時に口説くべきなのだとわかっているが、このチャンスを逃すのはもったいないとも思う。それに、体の関係がある男の部屋への誘いに乗った時点で了承したとも取れる。
「おきないとキスするよ。」
言いながら顎を捉えて、少し開いた唇を親指でなぞる。冷房で乾いた皮膚は見た目よりも柔らかく、ロイの指先の形に添う。ここで目を覚ましてくれれば先には進まずにいようと決め、しばし待ってもロイの葛藤など気づかずに寝ている。
「タイムアウト。」
指を退け、くちづける。今夜は酒の味はしないが、先ほど食べたチーズの香りがする。舌を絡めて味わう。無地の白いTシャツの下に手を滑らせながら、もっともっとと夢中になって吸っていると、ロイの肩を力の入らない手が押してきた。
「ん、ん、」
息苦しそうに上体が反り、顔をずらす。ロイがキスを止めて少し口を離すと、半覚醒なのか、現状を把握できないまま呟いた。
「先生?」
当然、自分の名を呼ばれると思っていたロイは少なからずショックを受けた。
「先生ともしてるの。」
ノリで誰かとセックスすることなど何度も経験しているし、あのバーで白田をホテルへ誘った時もそうだった。そこから思った以上に気持ちが高まり、気がつけば好きになっていたのは誤算だったが、それでも今は本気なのだ。苛立ちが声に出るのを抑えるのは難しい。
「え?ロイ?」
やっと目が覚めたのか、間の抜けた声でぽかんとしている。
「先生とのセックスはよかった?昨日もした?」
「なっ、し、してない!」
びっくりして思わずどもる。白田の中に、先生へそれを期待する疚しさがある分動揺は隠せない。その焦りを、ロイがどう感じるかなど考えも及ばなかった。
「アヤトの時もかくそうとしてたね。ウソはかなしいよ、ぼくだけにしてほしいのに。」
白田よりは身長も体重も恵まれた体がマウントを取り、反論しようとしていた口を塞ぐ。
「んうっ!」
散々蹂躙され、かぶりつくようなキスが終わる。危機感を感じ、その隙に急いで逃れようとしても無駄だった。あっという間にジーンズへ侵入した手が、パンツの上から縮こまっているものを掴んだ。股を閉じようと膝を寄せるのを片手で封じる。
「やめて!」
悲鳴に近い言葉をテレビの音がかき消したのか、もうロイの耳へは届かないようだった。
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