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下校4
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「…好きな奴がいるんだ」
先輩は、今度は落ち着いた声でポツリポツリと話し始めた。
「どうしても好きで、付き合いたくて、けど今のままじゃ付き合ってもらえそうもない。いかんせん、俺は恋愛に疎い方で今までまともに恋愛したことがない。俺は恋愛を経験しなきゃならねぇ」
そう言って、僕の方を見た。
それも、すごく優しい顔で。こんな立山先輩、見たことないってくらい。
「そこで、お前なんだよ。練習で女子と付き合うなんて失礼だし、かといって周りの男はデカイ奴ばかりだし、お前しかいない。俺の練習に付き合えんのは、お前しかいないんだよ。頼む、本気じゃなくていいから付き合ってくれ」
内容よりも何よりも、「お前しかいない」という言葉に引っかかった。
僕は、今、必要とされてる。今の立山先輩にとって、僕の代わりはいない。
クラスでは要らない存在の僕だったから、そんなことがどうしようもなく嬉しかった。
嬉しくて、嬉しくて、答えはもちろん決まっていた。
「僕でよければ、よろしくお願いします」
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