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恋人契約
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翌日の保健室で、僕は項垂れてた。
昨日、怖いと思っていた立山先輩と一緒に帰って、なんか先輩の練習台になるために付き合うことになって、なぜか泣いてしまって、慰めてもらって、立山先輩なのに優しくて、優しくて、でも付き合うって本当に大丈夫なの?
「どうしたの、郡山くん。百面相だよ」
「うひゃぁ!あ、遥先生」
「何か悩み事でもあるのかな?」
ふわぁっと優しい笑みを浮かべる遥先生。やっぱり先生を見てると落ち着く。
「あの、実は」
遥先生の顔を見てるとなんでも相談したくなってしまう。
立山先輩の名前だけを伏せて、練習台として付き合うことになったこと、発作が起きた時、その人が抱きしめてくれたら治ったことを話した。
「へぇ、やるじゃんナツ」
「へっ?」
「いやいや、なんでもないよ」
なんか聞こえた気がするけど、遥先生がなんでもないって言ってるなら信じよう。
昨日のような、気持ち悪くなったり涙が止まらなくなったりして抑えが効かなくなるのを、僕や遥先生は「発作」と呼んでいる。
そして、発作は家族と遥先生にしか治せない。治せないはずだったのに。
「郡山、大丈夫」
立山先輩の、必死だけど優しい声が脳内で再生される。
守ってやる、みたいなことも言っていた気がする。立山先輩は、怖いけど悪い人ではないのかもしれない。
その時、ノックもなく保健室のドアがガラガラッと開いた。
立山先輩だった。
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