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昼食
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キーンコーンカーンコーン
4限終わりのチャイムが鳴る。
すると立山先輩は「悪い」とだけ言って保健室を出て行ってしまった。
数秒して、気がついた。
そっか。人気者の先輩は、教室でみんなと仲良くお弁当を食べるんだ。
僕も5月までは、みんなとは言わないけど仲良しの人数人でお弁当を食べていた。それが当たり前だと思っていた。
今の僕は遥先生と2人で食べるか、その先生も忙しかったら1人で食べる。
別に遥先生が悪いわけじゃないけど、やっぱり生徒とお弁当を食べられるってのは少し羨ましい。
「遥先生」
「どうしたの?」
「立山先輩は、きっと、人気者なんですね」
そういうと、遥先生はふふっと笑った。
「そうかもね。だけど、あと数十秒もしたらきっと」
「きっと?」
その時、ガラガラっと大きな音を立てて保健室の扉が開いた。
「えっ」
そこには、お弁当を持った立山先輩がいた。
「悪い、遅くなった。さ、食べようぜ」
え、どういうこと?
遥先生の方を見ると、ほらねって顔で僕を見ている。
もしかして、
「立山先輩…あの、一緒にお弁当、食べてくれるんですか?」
「あ?当たり前だろ。だって俺ら付き合ってんだろ?」
付き合ってる、という言葉の響きがここまで心地よく感じられたのは、初めてだった。
そうか、付き合うって、もう1人じゃなくなるってことなんだ。
「あ、ありがとう、ございます」
若干涙目になった僕をみて、立山先輩は笑っていた。
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